イギリス王政復古期のシェイクスピアと女性演劇人

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山崎順子 著

東京女子大学同窓会 『東京女子大学同窓会会報』 
第45号(2007年9月1日)

 

シェイクスピア劇は、シェイクスピア没後、ピューリタン革命で、王制が廃止され劇場が閉鎖された内乱の空白期を挟んで、次時代の王政復古期には当時のフランス文化の影響を受けた劇形式、舞台様式、観客の嗜好などの変化を反映し、ほとんどは改作改変されて上演された。(端的に言えば、シェイクスピアの英語が、このころ既に理解されにくくなっていたのである。)

シェイクスピア劇が私達の現代にまで伝えられているのは、王政復古期にシェイクスピア劇が改作されて、次代に引き継がれたことを抜きにしては語れない。本書では、第1部で、シェイクスピア改作劇とシエイクスピア劇を比較し、それらが王政復古期からシェイクスピア劇再評価の機運の高まる18世紀演劇の中でどのような位置を占め、どのように受容されていくのかを見、第2部では、王政復古期から18世紀にかけてそれらの回りに華々しく登場してくる女優、女性劇作家、女性批評家たちの活躍を時代と文化との関わりから、考察している。第3部では、英文での論文も納めた。
 

卒後10年後に(療養生活を経て)―今では社会人復学は珍しいことではないが、30年前には希有のことで先生方が温かく迎えてくださった―東京女子大の修士課程、お茶の水女子大学の博士課程で、学ばせていただきました。その後日本シェイクスピア学会、『 国際シェイクスピアと歌舞伎学会』 などで発表したものを含め、折々に書いたものをこのほど1 冊にまとめました。

シェイクスピア劇と時代時代によって人々がどのように向かい合い享受したか、イギリス演劇のみならず、歴史、女性問題に関心のある方々にも手にとっていただければうれしいです。(尚、本書には理解の助けになる写真、図版など多く、年表も付いています。)

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