
現代社会において、倫理学は何を語ることができるのか――
本書は、現代の倫理的な諸問題を考察するにあたって重要と考えられる二つの概念、〈自己決定〉と〈ジェンダー〉に関わる考察をまとめたものである。現代は、医学や生命科学の発達にともない先鋭化している倫理的諸問題に、異なる考え方をもつ人たちとともに向き合わなければならない時代である。その二つの概念には批判の目もむけられてきているが、今求められているのは、それらの概念を放棄することではなく、〈相互尊重〉を実現するものとして再構築することである。それらの概念の再構築を通じて、個々人の具体的あり方を尊重しあうことが可能となるような知、および、その知に基づく実践を切り開くことに取り組んだ画期的な1冊。