Nemura2013.jpg

根村直美 著

A5判・上製・280頁
定価(本体6,400円+税)

ISBN978-4-284-10400-5
2013年12月

→ご注文

現代社会において、倫理学は何を語ることができるのか――

本書は、現代の倫理的な諸問題を考察するにあたって重要と考えられる二つの概念、〈自己決定〉と〈ジェンダー〉に関わる考察をまとめたものである。現代は、医学や生命科学の発達にともない先鋭化している倫理的諸問題に、異なる考え方をもつ人たちとともに向き合わなければならない時代である。その二つの概念には批判の目もむけられてきているが、今求められているのは、それらの概念を放棄することではなく、〈相互尊重〉を実現するものとして再構築することである。それらの概念の再構築を通じて、個々人の具体的あり方を尊重しあうことが可能となるような知、および、その知に基づく実践を切り開くことに取り組んだ画期的な1冊。

【目次】

Ⅰ.バイオエシックスにおける〈自己決定〉概念

第1章 〈自己決定〉概念・再考
第2章 道徳的ストレンジャーをつなぐ倫理としての〈自己決定〉と〈合意〉
第3章 バイオエシックスにおける〈自己決定〉と〈合意〉の諸相
第4章 〈自己決定〉概念の輪郭

Ⅱ.倫理学的考察と〈ジェンダー〉概念

第5章 ジェンダー概念と医療をめぐる考察―倫理学の立場から―
第6章 倫理学におけるジェンダー・パースペクティブ
     ―〈世話(ケア)の倫理学〉と〈性別秩序改編の倫理学〉の視点―
第7章 実践倫理学における合意の再検討―〈現実の合意〉の復権に向けて―

Ⅲ.〈自己決定〉概念と〈ジェンダー〉概念の交差点

第8章 WHOの健康概念に関する哲学的考察―その〈危うさ〉の考察―
第9章 〈望む子ども〉を産む技術をめぐる倫理学的考察
第10章 〈自己決定権〉をめぐる道徳哲学的考察―出生前診断をめぐって―
第11章 ドイツ統一妊娠中絶法に関する倫理学的考察

あとがき
参考文献等一覧
人名等索引

【著者略歴】

根村 直美 (ねむら なおみ)

1987年 お茶の水女子大学文教育学部哲学科卒業
1992年 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程比較文化学専攻・単位修得退学
1996年 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科にて博士(人文科学)号を取得
2002年 日本大学経済学部・助教授
2008年〜 日本大学経済学部・教授。現在に至る

専門領域 倫理学、哲学

著書・論文
単著:『バイオエシックスの諸相』(創英社/三省堂書店、2001年)
編著:『揺らぐ性・変わる医療―ケアとセクシュアリティを読み直す―』(健康とジェンダーⅣ、明石書店、2007年)、『ジェンダーと交差する健康/身体』(健康とジェンダーⅢ、明石書店、2005年)、『ジェンダーで読む健康/セクシュアリティ』(健康とジェンダーⅡ、明石書店、2003年)、『健康とジェンダー』(原ひろ子との共編著、明石書店、2000年)
共著:「ジェンダー論」小坂国継/本郷均編著『概説 現代の哲学・思想』(ミネルヴァ書房、2012年)、「イッツ・ショー・タイム―宝塚・ジャニーズ―」菅聡子篇『〈少女小説ワンダーランド〉―明治から平成まで―』(明治書院、2008年)、「医療とジェンダー」伏木信次・樫則章・霜田求編『生命倫理と医療倫理(改訂2版)』(金芳堂、2008年)、「『自己決定権』をめぐる道徳哲学的考察―出生前診断をめぐって―」藤川信夫編著『教育学における優生思想の展開―歴史と展望―』(勉誠出版、2008年)など
論文:「サイバー・スペースの自己と身体に関する一考察―ジェンダー秩序への異議申し立てはいかにして可能となるか―」『社会情報学研究』(日本社会情報学会・JSIS、第14号第1巻、2010年)、「情報社会における『自己』の多元性:その倫理的可能性」『日本社会情報学会誌』(日本社会情報学会・JASI、第18巻1号、2006年)など

お問合せ・ご相談はこちら

教育・福祉・思想など人文・社会科学関係の学術書・テキストブックの出版を行っている学術出版会のホームページです!