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  田中美知太郎 著

  四六判・上製・216頁
  定価1,680円(本体1,600円+税)

  ISBN978-4-284-10233-9
  2010年3月

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人間として生きること、思索することの深さ、厳しさ、そして喜びを、流麗な文体と美しい言葉で語り継ぐ滋味あふれるエッセイ

  • 人間の思想の世界のひろさと深さ、そのいろいろな屈折を、きびしい理論と、思いがけない愛情と、時にはひとを驚かすパラドクスや、絶望を誘う不安の思いなどをもって、どこまでも辿って行く面白さというものは、また格別のことだと言わなければならない。  「ひとつの序章」より
  • わたしたちにとって、喜びも悲しみと同じように、人生の事実なのである。……悲しみだけが真実で喜びは虚妄であるというような見方は、はじめから無理な見落としをしているのだと言わなければならない。人生は有無、善悪の二面をもつというのが、むしろ事実であろう。  「良識と常識」より
  • 何ものにも固執しないということは、何事をも信じないということではない。地上には、絶対的真理はないかも知れない。しかしそのことは、真理そのものを否定する理由にはならない。  「自由と偏見」より


【底本】

『生きることの意味』 (藤森書店・1978年)
 

【目次】
ひとつの序章

ヒューマニズムについて
 1 人間的なもの  2 ヒューマニズム再説
死すべきもの
幸福について
美について
弁解について
ペシミズムについて
教養について
 1 教養とは何か  2 女性のための教養
良識と常識
自由と偏見――自由に考えるということ
自分の考えを大切にしよう
現実的ということ
考える葦――思想と行動

あとがき
 

【著者略歴】

田中 美知太郎 (たなか みちたろう)

哲学者。1902年1月1日〜1985年12月18日。
新潟県生まれ。京都帝国大学哲学科選科卒業。法政大学講師、東京文理科大学講師を経て、1950年より京都大学教授。1965年同大学定年退官後、名誉教授。1972年文化功労者、1978年文化勲章受章。プラトン、ソクラテスなどの研究を通じて、ギリシャ哲学を平易に紹介するなど、哲学研究の分野において偉大な業績を残すとともに、西洋古典文献学の第一人者として確固たる地位を築いた。「古典的ヒューマニズム」の立場から文明批評を行い、ジャーナリズムの世界でも幅広く活躍。戦後日本の思想界において、独自の役割を果たした。著書には、『ロゴスとイデア』(岩波書店・1947年)、『思想の遠近』(新潮社・1956年)、『時代と私』(文芸春秋社・1971年)、『プラトン』(全4巻・岩波書店・1979〜1984年)などがある。

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  串田孫一 著

  四六判・上製・204頁 
  定価1,680円(本体1,600円+税)

  ISBN978-4-284-10234-6
  2010年3月

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日本図書館協会選定図書

健全で人間的な悩みを知ることの必要性を説き、その悩みを解決するヒントを与えることを目的としてつづられた素朴で心温まるエッセイ

  • 僕たちはまず第一に素直になることの必要を感じます。そして常に問題は持ちたいと思いますが、その問題を他人の作り出した思想であれこれと判断したり、つなぎ合せたりしてみる代りに、その問題自身を、幼い子どもの驚きを以って見詰ることに慣れたいと思います。  「序に代える手紙」より
  • 私どもは美しいものを発見したでしょうか。本当に美しいものを知っているのでしょうか。……人の心の美しさを知るにも、やはり特別な手段があるわけではありません。その美しさを受け入れる構えがありさえすればよいのです。  「美について」より
  • 僕たちの眼をあざむかないようなものは何かと言えば、自然以外にはないということになりましょう。自然は、植物にせよ昆虫にせよ、何一つ気取りもなく、何一つ隠しているものはありません。……その意味から言っても、僕たちが先ず見るべきものはこの自然であります。  「教養のために」より
     

【底本】

『ものの考え方―哲学以前―』 (要書房・1954年)
 

【目次】
序に代える手紙

考える楽しみ  疑いについて  哲学について
倫理学について  美について  宗教について
幸福について  快楽と苦悩について  運命について
孤独について  経験について  告白について
嘘について  感覚について  羨望について
嫉妬について  恐怖について  怒りについて
憎悪について  悲哀について  教養のために
世紀を代表する思想
―― 一九五〇年に、二十世紀の前半の思想を回顧すること――
西洋思想一覧

巻末に添える手紙
 

【著者略歴】

串田 孫一 (くしだ まごいち)

詩人、哲学者、随筆家。1915年11月12日〜2005年7月8日。
東京都生まれ。東京帝国大学哲学科卒業。1960年より東京外国語大学教授、同大学のほか國學院大学、武蔵野美術学校などで哲学を講じる。哲学・思想関係の著述だけではなく、登山家としての体験を踏まえた山の紀行・エッセイ、植物や気象などの自然界の観察結果を詩的な文体に記した自然随筆、さらには人生的思索を柔軟な筆致でつづった人生論・幸福論など、その執筆分野は多岐にわたる。初見靖一のペンネームを持つ。著作には、『愛の彷徨』(創文社・1952年)、『孤独なる日の歌』(創元社・1952年)、『羊飼の時計』(創元社・1953年)、『山のパンセ』(実業之日本社・1957年)などがある。

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