鈴木範久 著
A5判・並製・226頁
定価2,100円(本体2,000円+税)
ISBN978-4-8205-9464-2
2005年5月
「我々は何をこの世に遺して逝こうか。金か。事業か。思想か。……何人にも遺すことのできる本当の最大遺物は何であるか。それは勇ましい高尚なる生涯である。」 付録・内村鑑三『後世への最大遺物』の初版復刻。
【目次】
はじめに
第一話 人と時
一. 一八九四年の日本
大国主義/教育の集権化/経済的不況
二. 一八九四年のキリスト教
ナショナリズム/「新神学」
三. 天職
貧困生活/人の天職/地の天職
第二話 青年よ大志を抱け
一. キリスト教青年会
キリスト教青年会の結成/日本のキリスト教青年会/
内村鑑三とキリスト教青年会
二. 夏期学校
夏期学校の歩み/内村鑑三と夏期学校/第六回夏期学校
三. 「志」の世界
内村鑑三の「志」/「立志」の系譜/キリスト教青年の「志」
第三話 お金をもうけよう
一. 現世観
未来観念/地球観
二. 実業の精神
金銭観/実業の精神
第四話 お金を使おう
一. 消費の精神
勤倹貯蓄/消費の時代
二. 土木事業
内村鑑三と土木事業/箱根用水/青山士
三. 探検事業
リヴィングストン/シュヴアイツアー
第五話 世直しと慰め
一. 思想のはたらき
頼山陽の思想/ロックの思想
二. 文学の慰め
日本文学批判/「慰め」/文学論の影響
第六話 無用者
一. 無と喪失
陸放翁の詩/有用の害
二. 失望と希望
「勇ましい高尚なる生涯」/信・望・愛/カーライル/大賀ハス
第七話 生命の息吹
一. 生命の力
二宮尊徳/天道と人道
二. 反俗精神
メリー・ライオン/少年時代の家康
第八話 『後世への最大遺物』の影響
一. いかに生きるか
天野貞祐/矢内原忠雄
二. 森敦と「門脇のじさま」
『月山』/「人間の生涯」
あとがき
付録・内村鑑三口演『後世への最大遺物』(初版復刻)
【著者略歴】
鈴木 範久 (すずき のりひさ)1935年生まれ。1967〜2002年、立教大学一般学部、文学部、コミュニティ福祉学部勤務。 現在、立教大学名誉教授。立教学院史資料センター、明治学院大学歴史資料館の研究員、人事院公務員研修所、聖路加看護大学などの講師。
主な著書『内村鑑三』岩波新書、『内村鑑三日録』全12冊、教文館、『明治宗教思潮の研究』東京大学出版会、『日本キリスト教史物語』教文館、『日本宗教史物語』聖公会出版、訳書に内村鑑三著『代表的日本人』岩波文庫など。
内村 鑑三 (うちむら かんぞう)
1861〜1930年。思想家、キリスト教伝道者、札幌農学校、アマースト大学に学ぶ。
一高教員時代に「不敬」事件を起こし、日露戦争には非戦論を唱えた。無教会キリスト教を主張、伝道に従事するとともに、ジャーナリストとしても活躍。
『後世への最大遺物』のほか、『代表的日本人』『基督教信徒の慰』など著書多数。