平山 眞 著
A5判・上製・498頁
定価5,985円(本体5,700円+税)
ISBN978-4-8205-9312-6
2005年2月
東北日本の口寄せ巫女たちが関わってきた様々な共同祭祀を素材として、巫女による託宣の記録と伝達行為についての分析に基づき、口頭文化と文字文化の織りなす複雑な様相を活写しつつ、シャマニズム文化の深層に踏み込む。
【目次】
序論
第1節 問題の所在
第2節 方法論上の問題
2-1 比較分析に関して
2-2 エミックとエティック
2-3 社会人類学における宗教研究:儀礼の象徴論的分析を中心に
2-4 シャマニズムとコミュニケーション
2-5 韻律性について
第3節 本書で論じられる事柄
第1章 研究史並びに研究の経過
第1節 諸外国におけるシャマニズム研究
1-1 研究の始まり
1-2 シャマニズムの概念規定を巡って
1-3 社会・文化との関わりについて
1-4 本書の論点に関連する議論
第2節 日本のシャマニズム研究
2-1 研究小史
2-2 日本のシャマニズム概観
2-3 本書の論点に関連する研究
第3節 東北日本のシャマニズム研究
3-1 巫女の分類と呼称
3-2 口寄せ巫女の特徴
3-3 本節のまとめ
第4節 本章のまとめ:先行研究の問題点と研究の経過
4-1 先行研究の問題点
4-2 研究の経過
第2章 事例:宮城・山形両県における口寄せ枢女の共同祭祀
第1節 宮城県内の口寄せ巫女による共同祭祀
1-1 県内の巫俗
1-2 本吉郡唐桑町とその周辺における口寄せ巫女と共同祭祀
1-3 内陸部及び本吉町以南沿岸部の口寄せ巫女
1-4 本節のまとめ
第2節 山形県内の口寄せ巫女による共同祭祀
2-1 県内の巫俗と村落構造
2-2 庄内地方の口寄せ巫女とその共同祭祀
2-3 最上・村山地方における口寄せ巫女と共同祭祀
2-4 置賜地方の巫俗とその周辺
2-5 本節のまとめ
第3節 本章のまとめ
第3章 考察:東北シャマニズムにおけるコミュニケーション行為の諸相
第1節 口寄せ巫女の共同祭祀について
1-1 「共同祭祀」とは何か?
1-2 日本の共同体論
1-3 口寄せ巫女の私的性格と公的性格
1-4 巫俗と村落構造
1-5 本節のまとめ
第2節 カミオロシの韻律性を巡って
2-1 儀礼における言語表現に関する議論
2-2 口寄せ巫女の<うた>と<かたり>
2-3 韻律性と口寄せ巫女の公的性格
第3節 託宣の記録と伝達:口頭文化と文字文化
3-1 口頭文化と文字文化の関係についての議論
3-2 関連する幾つかの事例
3-3 託宣の記録・伝達と社会
3-4 制度としてのコミュニケーション行為
第4節 本章のまとめ
結語
おわりにあたり
《文献》
【付録】
資料Ⅰ:口寄せ巫女の詞章
資料Ⅱ:カミオロシの採譜
資料Ⅲ:託宣の文字記録
資料Ⅳ:画像資料
資料Ⅴ:補遺
【著者略歴】
平山 眞 (ひらやま しん)
千葉県千葉市生まれ
1989年 早稲田大学理工学部電子通信学科卒業
1994年 明治大学大学院政治経済学研究科博士前期課程修了
2001年 東洋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、社会学博士
専門分野:社会人類学(社会構造、宗教と呪術、ジェンダー)
主要論文:「シャーマニズムと女性を巡る考察」『白山人類学』第4号(1996)
「日本における祖先祭祀研究の再検討」『白山人類学』第5号(1998)
「修験道と巫俗の交錯―山形県村山地方の事例より」『東洋大学大学院社会学研究科紀要』第35集(1999)
「聖地巡礼の観光人類学的考察―宮城県仙台市の宗教法人・大和教団を題材にして」『観光産業』第18号(2002)
共著:『生活文化論ノート』松本誠一編、高志書院(2004)