佐藤 国郎 著
A5判・並製・240頁
定価3,360円(本体価格3,200円+税)
ISBN978-4-284-10131-8
2008年11月
ジュール・ラシュリエとモーリス・ブロンデルは、今までフランススピリチュアリスムという学派の下で論じられてきた。しかし、筆者はメーヌ・ド・ビランの研究を通して、この考えに疑問を抱き、二人の著作を学派という枠組みの外で、形而上学の展開として読み解く。そして、その系譜はスピリチュアリスムよりもむしろ“超越”であることと同時に、それぞれの思惟の間には根本的な違いがあることを明らかにする。読者を哲学史の見直しへと誘う、刺激的な発見に満ちた知的冒険の書!
【目次】
まえがき
第1部 自由の形而上学:ジュール・ラシュリエ研究
第1章 目的と必然性:『帰納法の基礎』
はじめに
1 論理的操作 2 帰納法の原理 3 事実の知覚
4 経験論の立場 5 実体あるいは原因を認める立場
6 思惟自身へ 7 思惟の可能性の条件
8 動力因から目的因へ 9 目的因の探求
10 自然の中の自由の場 11 見出されたカント
第2章 意志と自由:『心理学と形而上学』
はじめに
1 クザンを例とする心理学 2 事実の学としての心理学
3 形而上学へ
第3章 賭け:『パスカルの賭けについて覚え書』
はじめに
1 注釈 2 詭弁 3 実践の優位
結語
第2部 行為の形而上学:モーリス・ブロンデル『行為』を読む
緒論
第1章 行為という問題 1 問題成立の可否 2 どのように 3 無 4 問いのはじまり
第2章 行為という現象 1 感覚的所与 2 実証的科学 3 二元性
第3章 行為の科学への予備的考察
1 主観性 2 主観性から内部へ 3 事実と行為結果
4 主観的な事柄の独立性
第4章 行為の科学の構想
1 行為のはじまり 2 部分と全体 3 自由な意志
4 自律性と他律性 5 意志の不幸 6 思索の行程
第5章 行為の科学の実現
1 行為の中の受動性 2 身体あるいは有機体
3 身体あるいは心理学的生 4 総合化作用
5 個人から社会へ A:記号 B:La coaction C:協力 D:共同体 E:社会
第6章 行為の科学から行為の形而上学へ
1 行為の倫理に向けて 2 行為の形而上学に向けて
3 学の構想 4 学の発展 5 実践理性 6 迷信
第7章 行為の形而上学の再構築
1 葛藤 2 肯定される意志 3 必然性 4 目的論的証明
5 二者択一 A:第一の選択 B:第二の選択
6 行為の完成 A:超自然という課題 B:超自然から信仰へ
7 最後の問題 8 問題の解決と行為の役割
結語
あとがき
【著者略歴】
佐藤 国郎 (さとう くにろう)
2006年 横浜市立大学大学院国際文化研究科博士課程修了
博士(学術)
著書 『メーヌ・ド・ビラン研究―自我の哲学と形而上学―』悠書館(2007年)