英訳聖書の語学・文学・文化的研究

Shimizu2007.jpg

清水 護 著

『キリスト新聞』 2007年12月25日 第4面
山形和美(日本キリスト教文学会会長・聖学院大学大学院教授)

文学 清水護氏白寿記念の大著

キリスト教文学界の今年度の活動としては、やはり日本キリスト教文学会の活動を挙げなければならないだろう。会員数は11月13日現在で305名である。関東地区に本部があり、聖学院大学に事務局が置かれている。支部は北海道、東北、名古屋、中部、中国、九州のそれぞれにあり、各支部長がいる。毎年全国大会があり、今年度は活水女子大学で行われた。また、機関誌「キリスト教文学研究」が毎年発行されている。

もう1つ、特記しなければならないことがある。それは貴重な著書が出版されたことである。著者は日本キリスト教文学会の古くからの会員で、元国際基督教大学教授・清水護先生。表題は『英訳聖書の語学・文学・文化的研究』(学術出版会発行)で、480頁に及ぶ大著である。先生は白寿(99歳)を自ら記念して出版なさった。清水先生は、東京大学の学生の頃より英訳聖書の研究に励んでこられ、本書には1921年(昭和6年)の英文稿から始まり、最近の書き下ろしの文章まで入っている。内容は言うまでもなく素晴らしいものだが、本書を戴いてすぐにお電話したとき99歳でご健勝であられるのを知って、私は文字通りショックを感じ、驚きを隠せなかった。そして我が身を省みた。

これだけ書けば、わが国のキリスト教文学界の今年度の活動の報告としては、十分であろう。

その他、キリスト教関係のテーマを扱った著書を挙げれば、野口肇の『日本におけるフラナリー・オコナー文献書誌』(文化書房博文社・2007年1月)、谷悦子『阪田寛夫の世界』(和泉書院・2007年3月)、尾西康充『椎名麟三と〈解離〉―戦後文学における実存主義』(朝文社・2007年6月)などがある。

なお、講演として、山形和美「キリスト教と文学―『ヨブ記』と『リア王』」(聖学院大学総合研究所主催・11月7日)が行われた。

お問合せ・ご相談はこちら

教育・福祉・思想など人文・社会科学関係の学術書・テキストブックの出版を行っている学術出版会のホームページです!