高橋裕子 著
A5判・上製・328頁
定価(本体4,800円+税)
ISBN978-4-284-10417-3
2014年11月
学校衛生史の新しい方向性と、地域学校衛生史研究という新しい領域を切り拓く!
食物アレルギー・アナフィキラシーショックの対応や不登校支援。今、学校は、こうした新しい学校保健問題に対し、校長のリーダーシップのもとで養護教諭・担任と保護者・主治医が共同し、学校全体で取り組むことが求められている。本書は、従来の国家による学校保健制度の歴史ではなく、視点を学校現場に移し、学校が主体的に執り行った学校保健活動の歴史を、明治7年創設の中津川興風学校の日誌史料により実証的に明らかにする。
第一章 中津川興風学校の学校構想
第一節 はじめに 第二節 五通の開業願書
第三節 だれの構想か 第四節 教員の学修履歴
第五節 学校の運営費 第六節 まとめ
第二章 明治初期における小学校の病気欠席の問題
第一節 はじめに 第二節 開業願書の塾則における「休課」の記載
第三節 学校日誌の「退校」の意味 第四節 病気欠席の経過
第五節 中津川興風学校における「医案書」添付の意味 第六節 まとめ
第一章 明治一二年のコレラ流行にたいする中津川興風学校の「閉校」措置
第一節 はじめに 第二節 当該期の「学事関係人」(学校管理者)と教員
第三節 コレラ会議の概要 第四節 学校衛生観―教育か衛生か、学校か家庭か―
第五節 「学事関係人」と教員の衛生知識 第六節 学校自治の意識
第七節 まとめ
第二章 中津川興風学校と岐阜県私立衛生会の接点―地方私立衛生会の活動と学校衛生―
第一節 はじめに 第二節 岐阜県下の地方私立衛生会
第三節 岐阜県の衛生行政と教育行政
第四節 岐阜県下の地方私立衛生会と興風学校の交流 第五節 まとめ
第一章 明治政府の学校医制度―三宅秀と三島通良の学校医論の比較―
第一節 はじめに 第二節 学校医制度成立の経緯
第三節 三宅秀の学校衛生論と学校医論 第四節 三島通良の学校衛生論
第五節 三島通良の学校医論 第六節 まとめ
第二章 中津川興風学校の学校医の活動とその意義
第一節 はじめに 第二節 岐阜県の学校医制度と県下の設置状況
第三節 中津川興風学校の学校医活動
第四節 中津川興風学校におけるトラホーム対策の意義 第五節 まとめ
結 章
参考文献付録 中津川興風学校の学校衛生活動年表
―『中津川興風学校日誌』(明治七〜明治三八年)を資料として―
あとがき
索 引
【著者略歴】
高橋 裕子 (たかはし ゆうこ)
1962年 京都府京都市生まれ
1986年 天理大学体育学部卒業
1988年 奈良教育大学教育学研究科修士課程修了
2013年 兵庫県県立大学大学院環境人間学研究科後期博士課程修了
現在 愛知教育大学教授 博士(環境人間学)
著書論文:『日本学校保健学会50年史』(日本学校保健学会、2004年、共著)/「帝国学校保健会「学校衛生」にみる大西永次罡の主張の分析(1)(2)」『日本教育保健研究会』年報、第6号、1999年/「竹村一の「教育としての学校衛生」に関する検討」『日本教育保健研究会』年報、第8号、2001年など
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