
淺間正通 編著
四六判・並製・306頁
定価2,310円(本体2,200円+税)
ISBN978-4-8205-9046-0
2005年12月
21世紀とは、人類の叡智によって誘われた比類なき多価値の時代である。現代社会に人間観の再考を促す待望の書。既刊『異文化理解の座標軸』『国際理解の座標軸』に続く座標軸シリーズ、完結。
【目次】
はしがき
第Ⅰ部 国際化時代に探る「個」の行方
第1章 現代社会における多言語主義の意義 …… 河原 俊昭
1 はじめに
2 言語の多様性はなぜ必要か
3 多言語主義への疑問
4 言語の実用性―疑問①
5 多言語社会における各民族間の交流―疑問②
6 多言語社会における国家統一―疑問③
7 多言語社会におけるアイデンティティ―疑問④
8 言語的なカオスとしての多言語社会―疑問⑤
9 アメリカ英語の問題
10 おわりに(単一言語主義と多言語主義)
第2章 南太平洋の「楽園」フィジー―多民族社会の「表情」―
…… 後藤田 遊子
1 はじめに
2 日本人が抱く「楽園」イメージとは
3 英国植民地性政策がもたらしたもの
4 独立後の社会と都市の「表情」
5 言語の使用状況
6 伝統的共同体と現代
7 フィジーの「表情」に読み取る人間関係の機敏
8 おわりに
第3章 存在外国人との共生を促すコミュニティ・ディベロプメント(1)
―愛知県の取り組み事例を中心に― …… 伊東 田恵
1 はじめに
2 急増する存在外国人と地域社会の国際化
3 愛知県の行政施策
4 多文化共生社会に向けた課題と展望
5 おわりに
第4章 存在外国人との共生を促すコミュニティ・ディベロップメント(2)
―静岡県の取り組み事例を中心に― …… 小林 猛久
1 はじめに
2 我が国における国際環境の変化
3 存在外国人の意識に探る共生社会実現へのてがかり
4 歩み始めた静岡県の存在外国人施策
5 おわりに
第5章 [実践リポート]人間中心の英語教育のすすめ
―中高一貫教育の現場から― …… 山下 巖
1 はじめに
2 6年間を見通したシラバスの作成
3 自己表現重視の英語教育から人間形成へ
4 自己表現重視の授業において求められる教師像
5 おわりに
第Ⅱ部 情報化時代に探る「個」の行方
第6章 情報社会とコミュニケーション・リテラシー
―問われるネット社会の咀嚼力― …… 淺間 正通
1 はじめに
2 ネット社会の暗闇
3 IT化に潜む対社会的逆ベクトル
4 フィンランドの教育力に学ぶ我が国のリテラシー教育への示唆
5 カナダのメディアリテラシー教育プログラムからの示唆
6 コミュニケーション・リテラシーへの目覚め
7 おわりに
第7章 ポスト・ヒューマンボディにみる人間存在への問い
―サイボーグとの親和性― …… 中村 義雄
1 はじめに
2 境界崩壊の隠喩としてのサイボーグ
3 三人称から一人称としてのサイボーグ
4 人間機械論
5 アイデンティティと記憶の外在化
6 私生児としてのサイボーグ
7 母体回帰とサイボーグ
8 個人の体と政治
9 神とサイボーグ
10 おわりに
第8章 インドとシンガポールにおけるソフトウェア産業の集積と
人的ネットワーク …… 小川 勤
1 はじめに
2 インドのソフトウェア産業におけるクラスター
3 シンガポールにおけるIT産業群の形成
4 ソフトウェア産業群の集積に必要な人的要因
5 ソフトウェア開発拠点形成に果たす人的ネットワークの重要性
6 おわりに(新しい経済成長モデルの確立に向けて)
第9章 [実践リポート]モノづくりを通して築く「個」の発達
―人間中心設計の視点から― …… 森下 博正
1 はじめに
2 モノづくりに不可欠な人間中心設計の視点
3 ユーザビリティを考慮したモノづくり
4 モノづくり活動にもたらすディベート・トレーニングの効用
5 おわりに
第Ⅲ部 語りかける「個」への思索視座
第10章 ヴィクトリア時代と西洋風恋愛
―日本におけるその受容と変遷― …… 鷲 直仁
1 明治時代に流入した西洋風恋愛
2 結婚―自由競争とその結果
3 自己責任となった結婚
第11章 アメリカ・ルネッサンスの思想家
―ソローが残した知の遺産― …… 片岡洋子
1 はじめに
2 アメリカ・ルネッサンス思想
3 ネイチャーライティングとしてのソロー文学
4 『ウォールデン』の構造
5 自然の「野生」と人間の「思索」
6 ソローと科学
7 自然観の融合とディープエコロジー
8 コミュニティ思想から人間理解へ
9 おわりに
【編著者】
淺間 正通 (あさま まさみち)
静岡大学情報学部教授、早稲田大学講師。上越教育大学大学院修了。カリフォルニア州立大学(チコ)国際研究センター客員研究員(1995〜1996)。大学院で「情報社会形成論」、学部で「異文化間関係論」を担当。
著書に『異文化理解の座標軸』『国際理解の座標軸』(日本図書センター)、『情報社会のネオスタンダード』(創友社)、『異文化の戸惑い』(英宝社)、『自文化発信のアプローチ』(南雲堂)、『海外こころの旅物語』(早稲田出版)。その他論文多数。
現在、日本実用英語学会理事、異文化情報ネクサス研究会会長。日本道徳教育学会、日本社会情報学会会員。静岡市社会教育活性化推進委員。
【執筆者】
第1章 河原 俊昭 (かわはら としあき) 金沢星陵大学経済学部教授
第2章 後藤田 遊子 (ごとうだ ゆうこ) 北陸学院短期大学助教授
第3章 伊東 田恵 (いとう たえ) 豊田工業大学工学部助教授
第4章 小林 猛久 (こばやし たけひさ) 静岡県立静岡中央高等学校教諭
第5章 山下 巖 (やました いわお) 静岡大学非常勤講師
第6章 淺間 正通 (あさま まさみち) 静岡大学情報学部教授
第7章 中村 義雄 (なかむら よしお) 長岡技術科学語学センター専任講師
第8章 小川 勤 (おがわ つとむ) 静岡県立静岡中央高等学校教諭
第9章 森下 博正(もりした ひろまさ) 静岡県立浜松城北工業高等学校教諭
第10章 鷲 直仁 (わし なおひと) 都留文科大学文学部助教授
第11章 片岡 洋子 (かたおか ようこ) 静岡大学非常勤講師