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  濱川勝彦・半田美永・秦 昌弘・尾西康充 編著

  A5判・並製・400頁
  定価3,990円(本体3,800円+税)

  ISBN978-4-8205-2144-0
  2006年10月

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三重県四日市市の出身であるというだけでなく、〈風俗〉や〈戦争〉など時代の空気を反映したテーマを選んでいるという共通点を持つ両作家を、新進気鋭の若手研究者から昭和文学に通暁した碩学までが多角的な視点から論じる。

【目次】

序にかえて・丹羽文雄と田村泰次郎 …… 半田美永

Ⅰ 丹羽文雄論
1 遡源の回避―丹羽文雄初期作品の構造 …… 高橋昌子
2 丹羽文雄「勤王の屆出」試論 …… 水川布美子
3 丹羽文雄「蛇と鳩」論―新興宗教と救済 …… 岡本和宜
4 丹羽文雄『青麦』私論―「人生のまん中にいる」をめぐって
  …… 半田美永
5 丹羽文雄のミニマリズム―戦後の丹羽作品とヘミングウェイ
  …… 三品理絵
6 丹羽文雄『親鸞』における二つの問題―六角堂参籠 と悪人正機
  …… 濱川勝彦
7 丹羽文雄試論―その寺族史と宗教観からの視点 …… 衣斐弘行
8 『文学者』時代の瀬戸内晴美 …… 竹添敦子 

Ⅱ 田村泰次郎論
1 田村泰次郎試論―文芸復興期前後、及び横光利一との関連について
  …… 中川智寛
2 田村泰次郎の戦場小説―「肉体の悪魔」を中心に …… 濱川勝彦
3 「田村泰次郎」の評価を考える―雑誌「世界文化」と「肉体の悪魔」
  …… 高津祐典
4 田村泰次郎「渇く日日」論―中国河北省保定市を訪れて …… 尾西康充
5 「救済」される女たち―被占領下で観られた「肉体の門」 …… 天野知幸
6 肉体文学新論 …… 秦 昌弘
7 田村泰次郎とカストリ雑誌 …… 原 卓史
8 田村泰次郎文庫の日記と書簡 …… 鈴木昌司

Ⅲ 資料
1 丹羽文雄研究史 …… 岡本和宜
2 田村泰次郎研究史 …… 尾西康充
3 丹羽文雄年譜 …… 秦 昌弘
4 田村泰次郎年譜 …… 秦 昌弘

あとがき …… 秦 昌弘
 

【著者略歴】

天野 知幸 (あまの ちさ)1972年生まれ。日本学術振興会特別研究員(PD)。「三島戯曲の出発―文学/演劇の対立と<リアリズム>論争の中で―」(『昭和文学研究』第40集、2000年)、「詩劇を目指して―マチネ・ポエティク」、「雲の会」と三島由紀夫「邯鄲」(『日本語と日本文学』第38集、2004年)。

衣斐 弘行 (いび ひろゆき)1947年生まれ。龍光寺前住職、花園大学非常勤講師。『評伝 斎藤緑雨』、『虎伯和尚伝』(鈴鹿文化センター)

岡本 和宜 (おかもと かずのり)1975年生まれ。近畿大学付属和歌山高等学校・中学校講師。「川端康成『油』試論」(「皇學館論叢」第33巻4号、1998年)、「有吉佐和子書誌」(『有吉佐和子の世界』、翰林書房)

尾西 康充 (おにし やすみつ)1967年生まれ。三重大学人文学部助教授。『田村泰次郎選集(全五巻)』(日本図書センター)、『北村透谷研究―「内部生命」と近代日本キリスト教』(双文社出版)。

鈴木 昌司 (すずき まさし)1964年生まれ。三重県立四日市西高等学校教諭。2006年3月まで三重県立図書館員として田村文庫の整理・研究、HP上への公開を進めた。

高津 祐典 (たかつ ゆうすけ)1980年生まれ。朝日新聞記者。「雑誌「改造」とアンリ・バルビュス―同時代『西方の人』を再読する試み」(「立教大学日本文学」、第92号、2004年7月)。

高橋 昌子 (たかはし まさこ)1947年生まれ。三重大学教育学部教授。『島崎藤村―遠いまなざし』(和泉書院)、「風景と詩小説なるもの―『暗夜行路』の場合」(『フォリオa』ふみくら書房)

竹添 敦子 (たけぞえ あつこ)1953年生まれ。津市立三重短期大学教授。『山本周五郎 庶民の空間』(双文社出版)、『山本周五郎中短篇秀作選集(全5巻)』(小学館)

中川 智寛 (なかがわ ともひろ)1978年生まれ。名古屋経済大学市邨高等学校・中学校教諭。「テクスト化される階層―横光利一「朦朧とした風」、および「七階の運動」を巡って―」(「文学・語学」第182号、2005年7月)「水・解放―桐野夏生初期作品試論―」(「解釈」第52巻第1・2号、2006年2月)

秦 昌弘 (はた まさひろ)1958年生まれ。四日市立博物館学芸員。『田村泰次郎選集(全五巻)』(日本図書センター)、『肉体の悪魔・失われた男』(講談社文芸文庫)

濱川 勝彦 (はまかわ かつひこ)1933年生まれ。奈良女子大学名誉教授。『梶井基次郎論』(翰林書房)、『論攷横光利一』(和泉書院)

原 卓史 (はら たかし)1970年生まれ。中央大学兼任講師。「坂口安吾『ニ流の人』論―思索社版の典拠をめぐって(『中央大学大学院論究』、2005年3月)、「真山青果『元禄忠臣蔵』論―成立過程をめぐって」(『大衆文学の領域』、2005年)

半田 美永 (はんだ よしなが)1947年生まれ。皇學館大学教授。『佐藤春夫研究』(双文社出版)、『文人たちの紀伊半島―近代文学の余波と創造』(皇學館大学出版部)

三品 理絵 (みしな りえ)1967年生まれ。皇學館大学専任講師。「泉鏡花と近世絵画の意匠」(「比較文学」第46巻、2004年3月)『日本文化の連続性と非連続性』(共著、勉誠出版)

水川 布美子 (みずかわ ふみこ)1971年生まれ。神戸女子大学非常勤講師。「太宰治 中期文学の諸相―多様性と表現の模索」(学位論文)、「川端康成『千羽鶴』の一考察」(神女大国文)第17号、2006年3月)

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