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  笹沼俊暁 著 

  A5判・上製・310頁
  定価(本体3,600円+税)

  ISBN978-4-8205-2093-1
  2006年2月

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「国文学」とは何だったのか。「文学」の「危機」、あるいは「終焉」が叫ばれる現在だからこそ、そのことが問われるべきでないのか。「国文学」の政治性とイデオロギー性をダイナミックに解き明かす、新進気鋭による意欲作。

【目次】

序章 いま、「国文学研究」を読みなおす
 1 「普遍」と「特殊」のイデオロギー
 2 先行研究の整理と本書の課題

第一章 近代「国文学研究」の形成と「世界」
      ――「支那文学」とのかかわりから
 1 漢詩から新体詩へ
 2 近世における学問と「世界」
 3 「西欧の衝撃」と「世界文学」
 4 「世界文学」と「国文学研究」
 5 「支那文学」の発見と日清戦争
 6 「他者」としての「支那文学」
 7 「国文学」と「支那文学」の影響関係
 8 「支那文学」のイメージ
 9 東アジア的「世界」像の脱落と近代的「世界」像の確立

第ニ章 文学史と西欧中心主義
      ――「英文学者」・土居光知の「日本文学」論
 1 阿部知二のヨーロッパ紀行
 2 「欧米文学研究」の成立
 3 『文学序説』の登場と大正期の「世界文学」
 4 叙事詩・抒情詩・劇
 5 「日本文学」の「逃避的」性格
 6 「世界的文学」と「国民的文学」
 7 「英文学」と「世界文学」
 8 「外国文学研究」と「国文学研究」

第三章 「美」のイデオロギー――岡崎善恵と「日本文芸」の「普遍」性
 1 佐藤春夫と古典
 2 「日本文芸学」の登場
 3 美学からの「国文学」論
 4 「日本文芸」の「様式」
 5 「美」のイデオロギー
 6 「美」の「普遍性」と西欧美学の批判
 7 岡崎善恵の「世界文芸」論
 8 「普遍」主義と「特殊」主義の共犯関係

第四章 「国文学」の周縁――「大東亜共栄圏」とのかかわり 
 1 蓮田義明と「戦地」からの「国文学」
 2 一国主義的「国文学」の論理
 3 「大東亜建設と新国文学の理念」
 4 保田与重郎と「国文学」
 5 「文学研究」と朝鮮
 6 内鮮一体化と「国文学」
 7 東アジアと一国「国文学」のゆくえ

第五章 「文学」と「科学」の時代――池田亀鑑・久松潜一と文献学の論理 
 1 松本清張と「国文学」アカデミズム
 2 「日本文芸学」の衝撃と文献学
 3 近代「国文学研究」の典型としての文献学
 4 文献学と国策
 5 「真善美」の「国文学研究」
 6 文献学のゆくえ

第六章 「国文学」の「革新」――風巻景次郎と「日本文学史」叙述                  
 1 「革新」としてのナショナリズム
 2 「文学」の歴史性
 3 近代的「文学」の系譜
 4 「個人」と「国民」
 5 「国民文学」論とマルクス主義
 6 「国民文学」のゆくえ 

終章 「国文学」の終焉
 1 「世界文学」と一国「国文学」
 2 「国文学」の栄光と宿痾
 3 近代「国文学研究」の終焉

あとがき 索引
 

【著者略歴】

笹沼 俊暁 (ささぬま としあき)

1974年 静岡県生まれ
1997年 筑波大学第一学群人文学類卒業
2004年 筑波大学大学院博士課程日本文化研究 学際カリキュラム修了
専攻 日本近代文学・思想史研究

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