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  宮崎真素美 著

  A5判・上製・490頁
  定価6,090円(本体5,800円+税)

  ISBN978-4-8205-5728-9
  2002年7月

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初期から昭和30年に至る詩篇の変遷を追い,時代相、周辺詩人、また内外文学の受容の様態から、第二次世界大戦による精神の分断をきびしく拒んだ詩精神の在処を探求する。巻末「資料篇」には主要作品の校異、書簡紹介をふくむ。

【目次】

第一章 鮎川信夫研究の現在
 第一節 伝記研究  第二節 書誌および本文研究
 第三節 受容研究  第四節 作品史  第五節 本書のめざすもの

第二章 現実との対峙
 第一節 モダニズムからの離脱・第一次「荒地」創刊
 第二節 閉塞する自己・室内詩篇から「泉の変貌」へ
 第三節 青年詩人たち・黒田三郎
 第四節 現実との対峙・「囲繞地」
 第五節 入営・遺書としての詩「橋上の人」第一作

第三章 精神の架橋
 第一節 敗戦前夜・「戦中手記」の執筆
 第二節 二重の生・〈遺言執行人〉としての戦後
 第三節 自我の模索・田村隆一と三好豊一郎
 第四節 困難な自己定位・亡姉詩篇
 第五節 開拓と彷徨・「アメリカ」から第二次「荒地」創刊へ
 第六節 精神の架橋・「橋上の人」
 第七節 決意と出発・「兵士の歌」

第四章 「荒地」派の位置
 第一節 戦時詩とは何か  第二節 歌う詩から考える詩へ
 第三節 近代詩における「抒情詩」  第四節 「荒地」派の影響
 第五節 成果と課題

各論

第一部 モダニズムからの離脱

第一章 「橋上の人」第一作 
 第一節 初期詩篇  第二節 室内詩篇
 第三節 「泉の変貌」、「囲繞地」へ  第四節 「橋上の人」

第二章 無償の詩 
 第一節 親愛と畏敬・牧野虚太郎  第二節 彼らのモダニズム
 第三節 「神の歌」 

第三章 初期詩論 
 第一節 「不安の貌」  第二節 「批評家の態度に関するノオト」 
 第三節 「文学の摂理」  第四節 『戦中手記』 

第二部 ヴァレリイ受容

第一章 憧憬と離反の構図 
 第一節 二つのヴァレリイ論  第二節 評論にあらわれるヴァレリイ
 第三節 菱山修三訳『魅惑』の詩句と「橋上の人」
 第四節 自我意識の生成とヴァレリイ 

第二章 菱山修三 
 第一節 刻みつけられてゆく〈私〉  第二節 「小さな青空」
 第三節 高い木の梢  第四節 水底 

第三部 精神の架橋

第一章 「橋上の人」第二作・第三作 
 第一節 〈星のきまっている者はふりむこうとしない〉
 第二節 死への親和  第三節 「橋上の人」の位置

第二章 「アメリカ」 
 第一節 詩壇時評「青春の暗転」  第二節 カフカと田村隆一
 第三節 「純粋詩」という場

第三章 「兵士の歌」 
 第一節 亡姉詩篇  第二節 「小さいマリの歌」
 第三節 「兵士の歌」

第四部 歌う詩から考える詩へ

第一章 歌と抒情 
 第一節 個と全体  第二節 生の中心、ひとつの中心
 第三節 歌う詩と考える詩

第二章 近代詩における「抒情詩」 
 第一節 型としての新体詩  第ニ節 修辞学における「リリック」の理解
 第三節 「写情」から「抒情」へ

第三章 三好達治 
 第一節 評論「三好達治」  第二節 〈ふる〉もの
 第三節 〈ながれ〉るもの  第四節 〈垂れ〉るもの
 第五節 中原中也

第五部 「荒地」派の詩人達

第一章 黒田三郎 
 第一節 初期詩篇  第二節 モダニズムからの移行
 第三節 戦争体験  第四節 『ひとりの女に』

第二章 三好豊一郎 
 第一節 「基督磔刑図」  第二節 肉体のイメージと朔太郎
 第三節 同時代からの視点・野間宏「崩壊感覚」

結語

資料篇
1 森川義信宛鮎川信夫書簡(神奈川近大文学館蔵)
2 詩篇校異

参考文献初出一覧

あとがき

 

【著者略歴】

宮崎 真素美 (みやざき ますみ) 1964年 愛知県生まれ。 1992年 筑波大学大学院博士課程文芸言語研究科単位取得退学。2002年現在 愛知県立大学文学部助教授。博士(文学)。

著書『新日本古典文学大系 明治篇12 新体詩 聖書 讃美歌集』(共著 岩波書店、2001)/『近現代詩を学ぶ人のために』(共著 世界思想社、1998)/『昭和詩人論』(共著 有精堂、1994)他。

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