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岩田憲治 著

A5判・上製・280頁
定価4,830円(本体4,600円+税)

ISBN978-4-8205-7710-2
2006年7月

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人事労務管理制度はどのように作られたのか。本書は、松下電器を中心に個別企業の労使協議に基づいて、その形成過程を実証的に明らかにしている。労使双方の意図と背景を追いながら、経営側のそれらを探ることにも留意して、制度形成の過程を分析。

【目次】

序章 課題と方法
 第1節 問題意識
 第2節 作業仮説
  2.1 作業仮説1
  2.2 作業仮説2
  2.3 作業仮説3
 第3節 ダンロップの労使関係論
 第4節 先行研究
  4.1 労資関係型
  4.2 参加タイプ労使関係型
  4.3 職場規制タイプ労使関係型
 第5節 研究方法・対象と資料
  5.1 事例研究と対象企業
  5.2 人事労務管理
  5.3 用いた資料
 第6節 本書の構成

第Ⅰ部 賃金体系の改訂

第1部序
 第1節 高度成長と春闘
 第2節 松下電器の急成長と対抗的労使関係
  2.1 経営の急拡大と人事労務管理制度
  2.2 職場管理の混乱

第1章 仕事給(職務給または職能給)の導入
 第1節 はじめに
 第2節 経営側の提案(1950年代)
  2.1 定期昇給制(1950年代前半)
  2.2 評価基準の模索(1950年代後半)
 第3節 職能分類制度・職能給(1960年代前半)
  3.1 職能分類制度と昇進・昇格制度
  3.2 職能給
  3.3 経営側の意図とその背景
  3.4 定期昇給制の再提案
 第4節 一律賃上げ要求
  4.1 反合理化闘争と一律賃上げ要求
  4.2 松下労組の一部一律要求
  4.3 一部一律要求から全部一律要求へ
  4.4 一律配分要求の狙いと背景
 第5節 仕事別賃金の導入へ
  5.1 一律大幅賃上げと対立する仕事別賃金
  5.2 仕事別賃金プラン
  5.3 賃金配分をめぐる対立と組合主導権の移行
  5.4 仕事別賃金の導入
  5.5 仕事別賃金をめぐる論点
  5.6 仕事別賃金の支持層と狙い
 第6節 労使の意図とその背景
  6.1 経営側の思惑
  6.2 労働側の事情
 第7節 まとめ

第2章 労働組合による査定受け入れ
 第1節 これまでの研究成果
 第2節 路線対立と仕事別賃金プラン
 第3節 一律配分の要求
  3.1 多い一律配分の要求
  3.2 一律配分要求の減少
  3.3 一律配分要求が減少した理由
 第4節 労使折衝と査定の受け入れ
 第5節 組合が査定を受け入れた理由
  5.1 組合員の要望
  5.2 仕事グループ数が少ないこと
 第6節 組合が査定を認めた理由
 第7節 査定実施後の組合員の評価
 第8節 まとめ

第3章 電機産業における仕事給の導入
 第1節 家電産業における仕事給の導入
  1.1 三洋電機の場合
  1.2 シャープの場合
 第2節 重電企業における生産労働の態様
 第3節 技術革新の影響
 第4節 まとめ

第Ⅰ部小括  

第Ⅱ部 労働条件の向上

第Ⅱ部序
 第1節 産業の国際化
 第2節 日本電機企業の国際化
 第3節 労働条件の向上をめぐる労使の主張
  3.1 労働時間の短縮
  3.2 ヨーロッパなみ賃金を

第4章 週休2日制への道程
 第1節 はじめに
 第2節 経営側主導の週休2日制と組合の反対
  2.1 経営側が週休2日制導入を予告(1960年)
  2.2 組合の反対(1960年、61年)
  2.3 組合の対抗案(1962年)
  2.4 労使研究委員会をめぐる組合の反対(1962年)
  2.5 電機労連の時短策からの乗離(1963年)
 第3節 組合路線の変更と労使協議
  3.1 「絶対反対」から隔週5日制案へ(1963年)
  3.2 労使研究委員会の設置(1963年)
  3.3 労使間の論点(1964年)
  3.4 組合の戦術転換と労使合意(1964年)
 第4節 三菱電機の時間短縮
  4.1 1950年代後半の時間短縮
  4.2 隔週5日制
  4.3 週体2日制と賃金補償
 第5節 労使の意図とその背景
  5.1 経営側の姿勢
  5.2 組合側の対応
 第6節 おわりに

第5章 大幅賃上げと生産性向上
 第1節 はじめに
 第2節 賃金倍増に向けて
  2.1 賃金倍増をめぐる労使の背景
  2.2 計画段階の論議
  2.3 労使の合意
  2.4 国際水準の達成
 第3節 生産性向上―合理化反対闘争の転換―
  3.1 生産性向上運動と反合理化闘争
  3.2 松下労組での経緯
  3.3 生産性倍増への松下労組の協力
 第4節 電機大手企業の大幅賃上げと生産性向上
  4.1 東芝の場合
  4.2 日立の場合
 第5節 労使の意図とその背景
  5.1 経営側の理由
  5.2 組合側の理由
 第6節 おわりに

第Ⅱ部小括

第Ⅲ部 経営参加

第Ⅲ部序

第6章 消費者運動と企業別労働組合
     ―カラーテレビ不買運動と森永ミルク中毒事件―
 第1節 カラーテレビ不買運動
  1.1 発端と経過
  1.2 分析―組合の経営参加への芽
 第2節 森永ミルク中毒事件
  1.1 事件発生と経緯
  1.2 分析―組合の果敢な対応
 第3節 おわりに

第7章 経営参加の制度化
 第1節 はじめに
 第2節 経営参加をめぐるわが国の労使の方針
  2.1 組合側の方針
  2.2 経営則の方針
  2.3 日本的経営参加の模索
 第3節 経営参加を推し進めた理由
  3.1 組合側の理由
  3.2 経営側の理由
 第4節 松下労組の目的とその背景
  4.1 経営参加の目的
  4.2 制度化要求の背景
 第5節 経営参加の制度化
  5.1 組合案(1975年)
  5.2 要求から懇談会設置へ(1976年)
  5.3 要求の一部変更(1977年)
  5.4 導入への道筋(1978年)
 第6節 経営側が認めた理由
  6.1 経営者の労働組合観
  6.2 制度化を受け入れた理由
 第7節 おわりに

補論 三菱電機の経営参加

第Ⅲ部小括

終章 要約と結語
 第1節 要約
 第2節 結語
  2.1 Win―Winの理念
  2.2 意思疎通の保障

あとがき
参考文献
索引

【著者略歴】

岩田 憲治 (いわた けんじ)

1934年 三重県亀山市に生まれる。
1958年 名古屋大学経済学部卒業
1994年 松下電器産業株式会社を定年退職。ほとんどの在職期間を人事部門に勤務
2001年 大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程を修了
経済学博士
教育職歴 2000年以降、高知大学人文学部他複数の非常勤講師を歴任
主な業績 「査定と労働組合」『日本労働研究雑誌』1999年10月号、№472
「企業内賃金格差の推移と要因」『日本経済研究』2001年7月号、№43

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