
丹羽春喜 著
A5判・上製・337頁
定価3,990円(本体3,800円+税)
ISBN978-4-8205-7176-6
2006年5月
新古典派ルーカス理論の一般化によるケインズ体系との統合、「インプリシット乗数値」の導出による乗数効果健在の証明、巨大なデフレ・ギャップの計測と政府公表数字の誤りの暴露、そして、小泉総理への建白書、等々!
【目次】
序論
正統派的ケインズ政策の有効性
―産業空洞化克服と財政再建の問題に関連して―
総論
ケインズ的政策パラダイムの有効性についての理論的考察
1. はじめに
2. 「乗数効果」否定論には根拠がない
3. 有効需要に生産は即応しうる
4. 「合理的期待形成論学派」の考え方について
5. フィリップス曲線とケインズ的政策
各論
1. ルーカス型総供給方程式の一般化
―ルーカス、ケインズ両体系の統一的把握―
(コラム)教科書的AS-AD理論は非現実的だ
2. 日本経済における乗数効果 ―インプリシット乗数値の導出とその重要な意義―
(補論)包括的(複合的)乗数の数式体系とその政策論的な含意
(コラム)レオンチエフ乗数とケインズ乗数
(補遺)新GDP体系〈93SNA〉におけるインプリシット乗数値
3. 日本経済におけるデフレ・ギャップ、1970〜2004年 ―その規模の数量的計測―
(補足論文1)内閣府による「GDPギャップ」(デフレ・ギャップ)算定について
―批判的コメント―
(補足論文2)OECDおよび日銀のデフレ・ギャップ推計について
(補足論文3)企業の固定資本ストックの指標として「粗指数」と「純指数」の
両指数の幾何平均系列を用いた場合の
デフレ・ギャップ算定について
(補足論文4)デフレ・ギャップ計測の数理的方法論 ―数式による論証―
4. フロート制の下での貿易収支均衡とIS-LM体系(数理的分析)
―日米両国経済における不均衡の分析と
その是正のためのポリシー・ミックスの探究―
(補論)日米両国経済の不均衡をIS-LM体系で考える
(コラム)為替レートの「ハンディキャップ供与作用」と国際分業
(補遺)フロート制の調整作用について
付録小泉総理への建白書「打ち出の小槌」を振る決断を!
建白書への補論 政府貨幣と日銀券の本質的な違いに着目せよ!
あとがき
索引
【著者略歴】
丹羽 春喜 (にわ はるき)
経済学者。昭和5年芦屋市生まれ。同28年、関西学院大学経済学部卒業。同33年、関西学院大学経済学研究科博士課程修了。同大学社会学部教授、筑波大学社会科学系教授、京都産業大学経済学部教授を経て大阪学院大学経済学部教授、平成17年3月同定年退職。経済政策論ならびに比較経済体制論専攻、経済学博士。日本学術会議第16期会員をも務めた。
主な著書に『ソ連計画経済の研究』(東洋経済新報社)、『共産圏の貿易構造』(アジア経済研究所)、『ソ連軍事支出の推計』(原書房、防衛学会「防衛図書出版奨励賞」受賞)、「社会主義のジレンマ」(日本経済新聞社)、『ケインズは生きている』(ビジネス社)、『経済体制と経済政策』(税務経理協会)、『日本経済再興の経済学』(原書房)、『日本経済繁栄の法則』(春秋社)、『謀略の思想、反ケインズ主義』(展転社)、『不況克服の経済学』(同文館出版)など、他多数。