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渡部恒夫 著

A5判・上製・628頁
定価6,825円(本体6,500円+税)

ISBN978-4-8205-9000-2
2005年12月

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〈社会政策の産業平和機能の構造〉の解明に成功した嚆矢である。社会政策の獲得は体制の維持と同時に止揚に繋がるという、東西古今の理論家泣かせの難問を初めて解明し、行き詰まっていた局面を画期的に打開した。近来稀な胸のすく社会政策論。

【目次】

まえがき

第一章 研究の対象と課題と方法
はじめに
第一節 研究の大正
第二節 研究の課題
第三節 研究の方法
おわりに

第二章 労働経済学の批判から社会政策学の批判へ
はじめに
第一節 隅谷三喜男「賃労働の理論」における経済の問題
第二節 隅谷三喜男「賃労働の理論」=「労働経済論」における
      哲学的思考方法の問題
第三節 社会政策学の止揚の方向
おわりに

第三章 日本社会政策理論は「社会政策の資本制維持機能の構造」を
      どの程度解明したか

はじめに
第一節 社会政策の岸本理論における社会政策概念と
      最小限綱領概念の未分化・混同について
第二節 社会政策の大河内理論における政策主体の糸が
      「想われざる結果」に逆転する論理への疑問
第三節 社会政策の服部理論における
      「社会政策と最小限綱領の未分化・混同問題」
      =「社会政策の進歩的・保守的二重性論」とは何か
第四節 社会政策の風早理論における社会政策と
      最小限綱領の未分化・混同問題
第五節 社会政策の森理論における社会政策と
      最小限綱領の未分化・混同問題
第六節 社会政策の西村理論は「社会政策の保守的・
      革新的二重性」という矛盾問題といかに取り組んだか
      ―社会政策の本質は保守性にあるとしながらも、
      社会政策を獲得せよとはいかなることか
第七節 社会政策の近藤理論は「社会政策の保守的
      =革新的二重性論」か、また社会政策概念と
      最小限綱領概念を峻別したか
おわりに

第四章 エス・カツネリソンの所説における「社会政策概念と
      最小限綱領概念との未分化」の問題
      ―勤労大衆がブルジョア的社会立法を獲得することは
      自己矛盾ではないか―

はじめに
第一節 「序文」の要約と分析
第二節 「一 資本主義蓄積の初期から独占資本主義時代へ」の
      要約と分析
第三節 「ニ ブルジョア政治の一形態としての資本主義的労働法」の
      要約と分析
第四節 「三 社会改良と社会主義のための闘争」の要約と分析
第五節 考察
おわりに

第五章 「社会政策の資本制維持機能の構造」の解明のための
      基礎理論 Ⅰ ―ジェルジ・ルカーチの「階級意識論」―

第六章 「社会政策の資本制維持機能の構造」の解明のための
      基礎理論 Ⅱ ―松村一人の哲学―

はじめに
第一節 「大衆的規模において見た感性的認識と理性的認識」
第二節 「実践の優位について」
第三節 「歴史的必然ということ」
第四節 「ヘーゲルからの前進と後退―田辺元博士の弁証法について」
総括
おわりに

第七章 「社会政策の資本制維持機能の構造」の解明のための
      基礎理論 Ⅲ ―「社会政策・社会福祉の動機についての
      ベレガードの「証言」―

はじめに
第一節 ベレガード発言直前の四人の見解
第二節 政策担当側の見解―R.ベレガード―
第三節 政策担当者側の見解―ベレガード発言直後の三人の見解―
結論
おわりに

第八章 「社会政策の資本制維持機能の構造」の解明のための
      基礎理論 Ⅳ ―社会的矛盾の解決はその純かによるか、
      激化によるか、プレハーノフのストルーヴェ説批判―

はじめに
序 プレハーノフとストルーヴェ
第一節 定式Ⅰ=矛盾の定式
第二節 定式Ⅱ=鈍らされた矛盾の定式
第三節 定式Ⅱの誤謬
第四節 定式Ⅰの誤謬
第五節 K.マルクスの矛盾の定式
付節 製本主義社会の矛盾の鈍化の理論に対するローザ・ルクセンブルクの批判
おわりに

第九章 「社会政策の資本制維持機能の構造」の解明のための
      基礎理論 Ⅴ ―福祉国家論についての蘇勁著
      「福祉国家論の分析」の「序文」の要点と考察

はじめに
第一節 蘇勁著「福祉国家論の分析」の「序文」の要点と考察
第二節 「一、「福祉国家」論が現れた歴史的背景」の要点と考察
第三節 「ニ、「福祉国家」の理論的基礎」の要点と考察
第四節 「三、「福祉国家」の現実と基本的特徴の分析」の要点と考察
総括
おわりに

第十章 社会政策の資本制維持機能の構造
はじめに
第一節 最小限綱領と最大限綱領の切断、最小限綱領の自己完結化
      =社会改良主義
第二節 最小限綱領中の経済的改良の切断、経済的改良の自己完結化
      =経済主義
第三節 社会改良主義・経済主義=階級的性質の転換
第四節 手段と目的の切断、手段の自己完結化=変革の主体的条件の破壊
第五節 社会改良主義の偽善性・不徹底性
      =社会主義の民主的前提の成熟の阻止、
      民主主義の社会主義への成長・転化の阻止
第六節 国家の譲歩機能の自己完結化または過大評価、
      強制機能の過小評価、欺瞞・懐柔機能の脱落・隠ぺい
第七節 強制の対象を労働者から資本化へ、保護の対象を資本家から
      労働者へ、対労働者国家機能を強制から保護へ、
      対資本家国家機能を保護から強制へのすりかえ
おわりに

結論

あとがき
参照文献一覧
初出一覧

【著者略歴】

渡部 恒夫 (わたなべ つねお)

1942年 山形県鶴岡市生まれ
1966年 早稲田大学第一商学部卒業
1969年 早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(商学修士)
1973年 立教大学大学院経済学研究科博士課程退学
1999年 鹿児島経済大学大学院経済学研究科修士課程教授(M合)
2001年 鹿児島国際大学大学院経済学研究科博士課程教授(D合)
2005年 鹿児島国際大学より博士(経済学)の学位を授与される

著書
『社会政策の謎―社会政策批判の方法』ぎょうせい(1988)
『アジア経済帝国の形成と民衆の造反』朝日出版(1989)
『社会政策のからくり―社会政策批判の展開』ぎょうせい(1991)
『社会政策の神秘―社会政策批判の哲学』欺文堂(1995)
『社会政策の新地平―社会政策と最小限綱領の混同問題とは何か』南日本出版(1998)
『社会政策・社会福祉・社会立法の理論の研究』欺文堂(2002)

訳書レナト・コンスタンティーノ著『第二の侵略―東南アジアから見た日本』共訳、全生社(1990)、日本図書館協会選定図書

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