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松本久雄 著 

A5判・上製・408頁
定価6,825円(本体6,500円+税)

ISBN978-4-8205-8830-6
2003年3月

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1971年のIMF体制の崩壊、1973年の変動為替相場制の出現により国際決済手段ではなくなった金の廃貨現象をマルクス信用論に依拠して解明し、今日的課題に応える。

【目次】

はしがき               

第一部 信用理論の諸問題をめぐって

第1章 貨幣の前貸しと資本の前貸しの区別について―問題の所在―
 はじめに
 Ⅰ. 『資本論』における三つの区別基準
 Ⅱ. 諸家の見解―流通手段の前貸しっと資本の前貸しをめぐって―

第2章 「信用の利子生み資本化」の論理について
     ―岡橋保著『現代信用理論批判』に関連して―
 はじめに
 Ⅰ. 岡橋教授の主張と問題点
 Ⅱ. {貨幣の貸付}と「信用の貸付」
 Ⅲ. 銀行信用のニ区分と、貨幣の前貸しと資本の前貸しの区別
 Ⅳ. むすびに代えて 

第3章 「貨幣資本と現実資本」の帰結
     ―『資本論』第3巻第30章の問題提起に関連して―
 はじめに
 Ⅰ. マルクスによる問題の設定
 Ⅱ. 社会に現存する貨幣量と貸付可能な貨幣資本の量
 Ⅲ. 現実資本の蓄積と貸付可能な貨幣資本の蓄積
 Ⅳ. むすびに代えて

第4章 信用創造と信用媒介―信用制度の二つの面との関連で―
 はじめに
 Ⅰ. 信用創造とは何か―鶴野昌孝氏の見解を中心に―
 Ⅱ. 信用制度の二つの側面について
 Ⅲ. 信用創造と信用媒介の区別

第ニ部 通貨学派対銀行学派の主張とマルクス

第5章 通貨管理と信用調節―通貨論争の繋争点―
 はじめに
 Ⅰ. 通貨学派の主張
 Ⅱ. 銀行学派による批判
 Ⅲ. 銀行学派における資本と通貨の区別の意味について
 Ⅳ. むすびに代えて  

第6章 銀行学派による通貨と資本の区別とマルクス
 はじめに
 Ⅰ. 貨幣の前貸しと資本の前貸しを区別する四つの基準について
 Ⅱ. トゥックによる通貨と資本の区別について
 Ⅲ. フラートンによる通貨と資本の区別について
 Ⅳ. マルクスによる貨幣の前貸しと資本の前貸しの区別の帰結
 Ⅴ. むすびに代えて

第7章 トゥックとフラートンの差異と共通点
     ―『資本論』第3巻第5篇の後半部に関連して―
 はじめに
 Ⅰ. 兌換停止下における本位の存在について
 Ⅱ. 地金委員会におけるイングランド銀行理事の証言にたいする
    評価について
 Ⅲ. 投機が盛行する時期について
 Ⅳ. トゥックとフラートンの共通点について
 Ⅴ. 兌換性を保証する金属準備についてのマルクスの見解
    ―むすびに代えて―

第三部 マルクス信用論の展開のために

第8章 草稿で読むマルクスの信用論
     ―『資本論』第3巻第5篇第25〜35章の範囲で―
 はじめに
 Ⅰ. 「信用資本」(Creditcapital)という用語について
 Ⅱ. 銀行業者の与える信用の諸形態について
 Ⅲ. 第33章の問題点
 Ⅳ. 貨幣の前貸しと資本の前貸しの区別について
 Ⅴ. むすびに代えて

第9章 信用制度下の利子生み資本論の展開
 はじめに
 Ⅰ. 信用制度下における貸付可能な貨幣資本の存在形態としての「預金」
 Ⅱ. 貨幣量と貸付資本の両
 Ⅲ. 預金の二重の貨幣機能について
 Ⅳ. 「信用の貸付」の意味と内容

第10章 銀行の非流動性リスクと債務超過リスク
 はじめに
 Ⅰ. 非流動性リスクと債務超過リスク 
 Ⅱ. 銀行の債務を保証した歴史的事例
 Ⅲ. わが国で銀行の債務保証が問題にならなかった理由
 Ⅳ. むすびに代えて

第11章 商業銀行と中央銀行
 はじめに
 Ⅰ. 銀行の準備金の意味
 Ⅱ. 銀行による「信用の貸付」が媒介する貸付資本の形成と
    銀行準備金の役割
 Ⅲ. 重層的信用制度下の中央銀行の役割

【著者略歴】

松本 久雄 (まつもと ひさお)

1931年 長野県に生まれる。1963年 大阪市立大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。日本証券経済研究所主任研究員、桃山学院大学経済学部教授、金沢大学経済学部教授を経て、1996年より新潟経営大学教授、金沢大学名誉教授。専攻 貨幣論・金融論・国際金融論

著書 『金問題と貨幣・信用論』1990年3月(金沢大学経済学部発行)/『国際価値論と変動為替相場』1995年3月(新泉社発行) 

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