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上村雄彦 著

A5判・上製・413頁
定価7,980円(本体7,600円+税)

ISBN978-4-8205-1939-3
1997年9月

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制度派経済学とは何か―戦後、制度派経済学再評価の動きのなかで先導者として知られるカップ・ミュルダールの解釈・解明を通して、その方法・考え方を明らかにし、伝統的経済学を批判する。

【目次】

第1章 制度派経済学の定義をめぐって
1.制度派経済学についてのグルーチーの定義
2.グルーチーの定義の検討

第2章 制度派経済学の経済活動の主体としての
     人間の行動のとらえ方をめぐって
1.L・ロビンズの経済学の定義とそれへの批判
2.制度派経済学の人間行動のとらえ方及び二つの批判への論評
3.institution(制度)とは何か
4.人間行動の分類と制度派経済学の考え方(第一の特徴)への論評

第3章 新古典派消費者行動理論へのカップの批判をめぐる考察
     並びに“稀少性の影響下にある”という限定区
     及び経済の意味をめぐる考察
1.新古典派消費者行動理論へのカップの批判をめぐる考察
2.稀少性の影響下にあるという限定句及び経済の意味をめぐる考察

第4章 制度派経済学の諸特徴について
1.制度派経済学の諸特徴についてのカップの規定と我々の再規定
2.上記規定への説明・限定

第5章 Normative Science(規範的科学)或いは
     Political Science(政策科学)としての制度派経済学
1.Normative Science 或いは Political Science の規定
2.カップの見解について
3.ミュルダールの見解について
4.制度派経済学の本質理解にかかわる若干の問題への論及

第6章 生存上の社会的最低限(Existential Social Minimum)について
1.はじめに
2.論文Ⅰに関する考察
3.論文Ⅱに関する考察
4.論文Ⅲに関する考察
5.E.S.Mについての要約

第7章 生存上の社会的最低限と実質的合理性
1.形式的合理性「と実質的合理性
2.要点の整理
3.結論と遺された問題

第8章 経済システムを閉じられたシステム(closed system)として
     とらえるということについて
     ―システム論的接近と制度派経済学(1)
1.はじめに
2.閉じられたシステム(closed system)としてとらえられた経済システム
3.closed system としてとらえられた経済システムの具体例としての
  ハロッド・ドマールモデル
4.経済システムを open system としてとらえた場合のモデル構築
5.closed model approach と institutional approach との
  違いについての一つの見解への論評

第9章 経済システムを開かれたシステム(open system)として
     とらえるということ並びに制度派経済学の主要特徴としての
     システム論的接近について
     ―システム論的接近と制度派経済学(2)
1.開かれたサブシステム(open sub system)としての経済システムと全体システム
2.システム論的接近の意義についてのカップの所見
3.制度派経済学とミュルダール
4.ミュルダールが構築せんとするモデル
5.システムとは知的構成物である
6.おわりに

第10章 部分と全体の関係及び相互作用について
1.はじめに
2.ベルタランフィーによるシステムの規定
3.諸部分と全体の関係、相互作用ということをどの様に考えるか
4.ホプキンスの「統合の原理」
5.「統合の原理」が示唆すること
6.全体或いはシステムの目的についてのベルタランフィーの所論
7.全体と部分の関係、相互作用と真の目的性

第11章 経済システムをどのように考えるか
1.相互に関連しつつ相寄って経済システムをつくり上げている要因如何
2.市場機構等
3.経済システムの要因としての主体から主体への財移動の様式等
4.経済システムの要因としての諸経済関係複合体
5.経済システムの要因としての institution
6.経済システムという名称は妥当か
7.当初の問題への解答―経済システムとは市場的交換システムのことである
8.全体社会システムと財の生産・移動のシステムとの関連
9.全体システムと拡大された財の生産・移動のシステム

第12章 全体社会システムをサブ・システムに分割するための
      一つの考え方について―K.E.ボールディングに即して
1.はじめに
2.ボールディングの所論
3.システムの要素としての必然、偶然、自由について
4.全体社会システムのサブ・システムへの分割について
5.全体社会システムを経済システム、政治システム、社会システムという
  三つのサブ・システムに分割することの是非について
6.結論、その他

第13章 累積的循環的因果関係の原理の重視という特徴をめぐる概観的考察
1.はじめに
2.伝統的経済学の安定的均衡概念と均衡分析へのカップ批判
3.C.C.C の原理を重視した三人の学者、
  ウェブレン、ヴィクセル、ミュルダール
4.C.C.C の原理についてのミュルダールの所見
5.相対的恒常性 (relative constancy)について
6. 制度派経済学と過程弁証法
7.ヴェヴレンと弁証法
8.C.C.C の原理の重視という制度派経済学の特徴把握への留保
9.disciplinary matrix としての C.C.C の原理

第14章 累積的循環的因果関係の原理とG.ミュルダール
1.はじめに
2.停滞、悪循環、良循環
3.累積的循環的因果関係の原理の規定をめぐって
4.累積的循環的因果関係の原理と低開発、開発のメカニズム

第15章 累積的循環的因果関係の原理とConflict (コンフリクト)の論理
1. はじめに
2.基本仮設への反論とそれにも拘らずミュルダールが
  基本仮設を支持する一つの根拠
3.基本仮設の系について
4.基本仮設の解釈・解明
5.Conflict (コンフリクト)の論理の提示
6.ミュルダールの信念の論評
7.累積的循環的因果関係(C.C.C) の原理とConflict の論理、試論
8.Asian Drama における累積的循環的因果関係の原理の意味その他

【著者略歴】

上村 雄彦 (うえむら かつひこ)

昭和13年(1938年)大阪市に生まれる
昭和35年(1960年)神戸大学経済学部卒業
昭和41年(1966年)神戸大学大学院博士課程単位取得退学
昭和61年(1986年)大阪府立大学経済学部教授

著書:立半(旧姓)雄彦『L.ワルラスの社会経済学』大阪府立大学経済研究叢書26冊 昭和43年(1968年)論文:L.ワルラスの純粋経済学と相互依存性の思想、厚生経済学批判序説(1)、人間欲望と社会関係(3)、現代制度派経済学序説(1)、K.W.Kapp の社会的費用論をめぐって(4)等多数

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