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宮地正卓 著

A5判・並製・182頁
定価(本体2,100円+税)

ISBN978-4-8205-8935-8
2004年3月

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ゆとり教育、学力低下、悪平等主義は規範教育への認識不足にある。現場における実践的な研究を補うには、人間そのものに対する哲学的探求こそが必要と説く。平易な語りで教育を哲学とつなぐ。

【目次】

まえがき

序章 「哲学」とはどのような学問か

第一章 教育の病理現象と自由
(1)教育における「自由」の位置づけ。自由と恣意の区別を明確に!
(2)「ゆとり」教育の問題点―その一―
(3)「ゆとり」教育の問題点―その二―
(4)自由とは何か、人間の自由の厳選はどこにあるか

第二章 人間教育の基盤としての「愛」の教育
(1)「いのち」における愛と自由の同根性
(2)教育病理現象の原因は自由にあるのではなく、
  自由と恣意との混交にある
(3)自由と恣意の区別を身につけさせるためにも、もっと「愛」の教育を!
(4)子どもたちに「愛」の自覚を促すような教育を!
(5)人間教育の根本命題は「愛は愛を呼びさます」である
(6)「いのち」と人間についての学際的研究をふまえた人間教育の必要性

第三章 教育の病理現象と平等主義
(1)歴史の現実から「平等」の在り方を考える
(2)旧ソ連の歴史的現実をふまえて、教育の平等主義を検討する
(3)「平等」理念の人間論的根拠
(4)教育において重視されるべき「平等」は
  結果の平等ではなく、動機の平等である

第四章 規範教育の重要性とその在り方
(1)規範と自由
(2)社会規範の根拠を探究するために、社会の成り立ちを考える
(3)規範教育には規範の成立根拠を十分理解させることが肝要
(4)規範教育の根拠としての自然環境との関わりと、
  それをふまえた公徳心の養成
(5)規範教育の根拠としての人間の本性 その一「愛」
(6)規範教育の根拠としての人間の本性 その二「知性」
(7)規範教育が実際に生かされうるための人間論的根拠

第五章 学力低下の根本的な要因と改善への方向づけ
(1)今回の学力調査の結果をめぐって
(2)ゆとり教育と学力低下
(3)学力低下の根本的な要因としての教育病理現象
(4)学力低下の根本的要因としての悪平等主義
(5)学力低下の一要因としての規範教育の不足
(6)学習意欲を喚起する「人生への展望」

第六章 教育の要諦=自他一如の心
(1)「子どもの視点に立った教育」の核心=「自他一如の心」
(2)「自他一如の心」の根源としての「主客未分の体験」
(3)「主客未分の体験」は愛の源泉
(4)「主客未分の体験」は源泉としての「いのち」

第七章 「子どもの視点に立った教育」に関する二、三の実例
(1)子どもの話を最後まで聞こう!
(2)子どもの長所も短所もありのままに捉えよう!
(3)子どもの指導は子どもの視点に立って!
(4)本章の実例から学ぶこと

第八章 子どもの身になって子どもの痛みを
      「まるごと」受け止める「自他一如の心」
(1)不登校、引きこもりを立ち直らせる「自他一如の心」
(2)傷ついた子どもを「まるごと」受け入れるとは? 具体例―その一―
(3)傷ついた子どもを「まるごと」受け入れるとは? 具体例―その二―

むすび

【著者略歴】

宮地 正卓 (みやじ まさたか)

1928年 奈良県天理市生まれ
1959年 京都大学文学部大学院(旧制)哲学科修了
現在 神戸親和女子大学名誉教授

著書:『カント空間論の現代的考察』北樹出版、1993年/『近・現代自由意思論小史』近畿印刷工業出版部、1993年/『「自由」と「平等」の哲学』北樹出版、2001年/『運命・自由・愛―フランクルの「生きる意味」随想』中央法規出版、2002年/『「いのち」と「人間」の哲学―生命科学との対話を軸に』北樹出版、2002年/『科学的認識と帰納的推論―ヒューム、ポパー、ライヘンバッハ』日本図書センター、2003年

最近の主要論文『実存分析における主体的自由』1・2、神戸親和女子大学『研究論叢』第30号、31号、1996年、1998年/『随意運動における心と脳―ヤングの対エックルス批判への哲学的検討』「科学基礎論研究」第94号、2000年

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