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上野益雄 著 

A5判・上製・194頁
定価3,360円(本体3,200円+税)

ISBN978-4-8205-6241-2
2001年7月

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何故、わが国より400年も前からヨーロッパで聾教育が始まっているのか。欧米の聾教育史上転換期となるべき事項をとりあげ、口話法と手話法のルーツを探り、新たな分析を試みる。

【目次】

まえがき

一、 古代における障害者観――ギリシャ・ローマ・ヘブライ――
 一、 古代人の障害観――病気と障害
 二、 古代ギリシャ・ローマの障害児
 三、 イスラエル民族の律法
 四、 新約の時代
 五、 学問上の理解
 六、 タルムードとアウグスチヌス

二、 スペインの修道院にて――スピーチの可能性と手話――
 一、 スピーチの可能性をめぐって
 二、 ポンセ・デ・レオン
 三、 ことばの指導――スピーチ・指文字・手話について――
 四、 ポンセの後継者ラミレ・デ・キャリオン
 五、 パブロ・ボネート
 六、 中世カトリック社会と聾教育

三、 アンマンの『言語論』にみる旧約聖書の影――神に創造された証し――
 一、 一七世紀にみる純粋口話法のルーツ
 二、 『言語論』の背景について
 三、 スピーチの特徴
 四、 アダムの言語と人の言語
 五、 おわりに

四、 ハイニッケとド・レペに関する覚書――人間の理性・認識の問題――
 一、 口和法のルーツ、S・ハイニッケ
 二、 手話のド・レペ

五、 口話法の理念―― 一九世紀アメリカの口話法運動――
 一、 はじめに
 二、 口話法の推進
 三、 口話法運動
 四、 口話法を支える障害者観
 五、 まとめ

六、 エドワード・M・ガローデッド――併用法の理念――
 一、 はじめに
 二、 聾唖施設の状況
 三、 E・Mガローデッドのプロフィール
 四、 社会的背景――農業国から工業国へ――
 五、 初等教育の起こり
 六、 ヨーロッパ視察
 七、 理想の聾学校について
 八、 E・Mガローデッドの聾唖者観
 九、 考察

補遺 ミラノ会議とエドワード・M・ガローデッド
 一、 ミラノ会議とは
 二、 会議のなりたちとアメリカ代表
 三、 エドワードの報告
 四、 エドワードの論評
 五、 おわりに

七、 歴史解釈の相違
 一、 問題点
 二、 アメリカの手話導入は一般にどう考えられたか
 三、 もとになった著書
 四、 口話聾学校設立時の論争
 五、 手話導入についての相反する意見
 六、 事実はどうか
 七、 まとめ

付章 聾の歴史から学んだこと
〔日本の場合〕
 一、 聾学校の経験
 二、 手話から口話へ
 三、 日本の口話法の始まり
 四、 歴史から学ぶこと

〔アメリカの場合〕
 五、 口話法のルーツ――ハバードとメーベル――
 六、 口話法のルーツ――ハウの障害者観――
 七、 昔、聾唖施設の頃は、手話で教えた
 八、 教育の目的――宗教教育――
 九、 手話のすばらしさ

あとがき

【著者略歴】

上野 益雄 (うえの ますお)

1932年大阪市生まれ。東京教育大学大学院(博士課程)中退。東京都立立川聾学校教諭、東京教育大学助手、筑波大学教授、土浦短期大学教授を経て、1995年からつくば国際大学教授(教育学博士)。2002年3月退職。

著書(単著) 『19世紀アメリカ聾教育方法史の研究』(風間書房、1991)(共編著)『聴覚障害児教育の革新』(コレール社、1997)その他

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