
石井 章 著
A5判・上製・408頁
定価5,670円(本体5,400円+税)
ISBN978-4-284-10130-1
2008年11月
ラテンアメリカは一般に社会経済的格差が甚だしいことで知られるが、そうした格差を生み出す要因の1つとして土地所有の不均衡が指摘される。これを是正するために、いくつかの国で農地改革が実施された。本書は、農地改革で導入されたメキシコ独特の土地制度・農村社会の一単位である「エヒード」、ペルー農村部の社会経済的・文化的特質と農地改革との関係性、1980年代の中米地域紛争の根本的な要因の1つとして農業問題など、具体的な事例を検証することを通じて、ラテンアメリカの農地改革全体の本質を分析・考察する。
【目次】
第Ⅰ部 総論
第1章 ラテンアメリカの農地改革
第2章 ラテンアメリカの農業問題と地域類型
第Ⅱ部 メキシコ
第3章 農地改革と農業政策の歴史的展開
第4章 エヒードの制度と実態
第5章 エヒードの事例
第6章 農業の二重構造と地域差
第7章 新自由主義のもとでの土地制度の改革とエヒードの変容
第Ⅲ部 ペルー
第8章 ペルーの農民運動と農地改革
第9章 ベラスコ政権下の農地改革
第10章 フジモリ政権の農業政策とシエラの開発
第Ⅳ部 中米
第11章 中米紛争と農業問題
第12章 ニカラグア・サンディニスタ政権下の農地改革
第13章 ホンジュラスの農地改革と農民運動
第14章 コスタリカの農業構造
【著者略歴】
石井 章 (いしい あきら)
1935年 東京生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。アジア経済研究所主任調査研究員、高知大学人文学部教授、中部大学国際関係学部教授を歴任。
著書 『メキシコの農業構造と農業政策』アジア経済研究所(1986年)、『ラテンアメリカの土地制度と農業構造』(編著)アジア経済研究所(1983年)、『冷戦後の中米―紛争から和平へ―』(編著)アジア経済研究所(1996年)、『子供のころ戦争があった』人文書院(1984年)他