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谷沢毅弘 著

A5判・上製・528頁
定価5,880円(本体5,600円+税)

ISBN978-4-284-10179-0
2009年7月

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多様な要因の相互作用のなかで発生する家族経済現象をどのように扱うか―個人計量経済史学からの解答!!

前著『近代日本の所得分布と家族経済―高格差社会の個人計量経済史学』に続き、個人データを活用した新しい歴史分析(個人計量経済史学)を駆使して、日常生活という掴み所の難しいテーマに挑む。データに基づいた分析により、戦前の日本における家族経済行動の特徴を描き出しながら、社会・文化現象の影響も考慮することで、戦前期に関して従来の経済史学では範囲外にあったテーマについて取り扱うための方法を模索−さらに近代、現代の地域社会への提言へとつなげる。多様な論点を内包した論文5編を基にした野心的な試み。

【目次】

緒言

序章 本書の射程と研究方法
第1節 本書の射程
第2節 近代日常生活の登場
第3節 日常生活の捉え方
第4節 本書の構成

第1章 個人計量経済史学の新潮流
     ―家族経済史研究への適用可能性―

第1節 問題の所在
第2節 家族経済史研究の閉塞感
第3節 個人計量経済史学の提起
第4節 方法論上の留意点
第5節 結びにかえて

第2章 初期家計調査の記帳バイアスと性別役割分業仮説の再考
     ―対象世帯と研究者が持つジェンダーバイアス―

第1節 問題の所在
第2節 有業率の大幅な相違
第3節 調査方法の特徴
第4節 非世帯主のデータ把握問題
第5節 就業関連データの含意
第6節 結びにかえて

第3章 戦前期東京の個人小売商世帯における
     業計複合体の形成メカニズム
     ―1930年代前半の商家経済の計量分析―

第1節 問題の所在
第2節 商家経済の把握方法と租税制度
第3節 家業の財務内容の復元・分析
第4節 商家経済の計量分析
第5節 結びにかえて

第4章 社会関係資本の形成による町内会の設置と
     方面委員制度の導入
     ―日常生活のセーフティネット―

第1節 問題の所在
第2節 戦前期の生活保護動向
第3節 方面委員制度の特徴
第4節 方面委員の特徴
第5節 結びにかえて
補論 1924年における全世帯平均所得(第三種所得ベース)の推計方法

第5章 政令市札幌における生活保護状況と若干の安全網縫合案
     ―地域社会と一体となった家族経済の再建―

第1節 問題の所在
第2節 戦後の生活保護政策の変容
第3節 札幌における生活保護の現況
第4節 安全網張替えの条件整備
第5節 結びにかえて

終章 近代日常生活のネットワーク性と想像力
第1節 各章の要約
第2節 日常生活のネットワーク性
第3節 通説の危うさ
第4節 求められる想像力

関連資料索引

【著者略歴】

谷沢 弘毅 (やざわ ひろたけ)

札幌学院大学経済学部、同大学院地域社会マネジメント研究科教授専攻:地域経済論、日本経済論

主要著書:『近代日本の所得分布と家族経済―高格差社会の個人計量経済史学』日本図書センター(2004年)/『経済統計』新世社(2006年)/『経済統計論争の潮流』多賀出版(1999年)/『現代日本の経済データ』日本評論社(1997年)

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