二十世紀中国文学図志

Nakai2009.jpg  楊義・張中良・中井政喜 著
  森川(麦生)登美江・星野幸代・中井政喜 訳

  A5判・上製・804頁
  定価12,600円(本体12,000円+税)

  ISBN978-4-284-10174-5
  2009年7月

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本書は、挿絵を「言葉のない精神」ととらえる。挿絵約600枚を解釈の手がかりとして文学史を述べ、文学史によって挿絵と作品の意味を総合する。また、二十世紀の中国文学史の事象を単に並べて解説するだけではなく、事象相互間の歴史的関係にも解釈をあたえようとする。さらに、これまでの現代文学史で光があてられなかった旧文化、通俗文学の領域に属するものにも注目する。それは同時に、新文学と新文学研究の盲点を指摘するものである。

 

 

【目次】

序 章

凡 例

第一章 一九〇〇年 ― 一九一六年

一 「詩界革命」と梁啓超、黄遵憲
二 『新小説』と『繍像小説』―清末の四大小説雑誌(上)
三 『月月小説』と『小説林』― 清末の四大小説雑誌(下)
四 李伯元とその小説の繍像
五 林翻訳の非自主的選択
六 王国維の学問研究
七 南社の「唐音」と「詩界革命」
八 精緻な学者型の伝統劇作家呉梅
九 初期の新劇と春柳社
一〇 哀情の開祖『玉梨魂』
一一 包天笑編集によるいくつかの小説雑誌
一二 週刊『礼拝六』についての二度の回顧
一三 周痩鵑、紫羅蘭に対する心の結ぼれ
一四 伝奇的な詩僧蘇曼殊
一五 『域外小説集』の空前性
一六 前・後期の『甲寅』雑誌の岐路

第二章 一九一七年 ― 一九二六年

一七 五四新文化運動の中心的雑誌『新青年』(上)
一八 五四新文化運動の中心的雑誌『新青年』(下)
一九 胡適『嘗試集』の歴史的位置
二〇 新文学運動における魯迅
二一 『晨報副鐫』に載った「阿Q正伝」
二二 阿Q相の様々
二三 周作人龍を談じ虎を談ず
二四 二〇年代文壇最初の雑誌『小説月報』
二五 『晨報副刊』と『京報副刊』―新文学運動における「四大副刊」(上)
二六 『学灯』と『覚悟』―新文学運動における「四大副刊」(下)
二七 『晨報副鐫』による東西文学の紹介
二八 『戯雑誌』を前にしての再考
二九 清新典雅な「冰心体」
三〇 愛によって隔たりを埋める葉紹鈞の芸術的誠意
三一 美文の名家朱自清
三二 自我の表現を重視する創造社の異軍突起
三三 郭沫若の詩風と劇風
三四 『社会組織与社会革命』と郭沫若
三五 「郁達夫風」の毀誉と盛衰
三六 『洪水』時期の郭沫若と創造社の若い仲間
三七 葉霊鳳の小説と絵画の現代風
三八 『莎楽美』の田漢訳本
三九 聞一多と「夢筆生花」
四〇 徐志摩の清麗温和な浪漫
四一 「桃花扇」―改新再生する楊柳
四二 舞台詩人―田漢
四三 「南国」の風格
四四 洪深の「鶏鳴早看天」―長夜いつに終わらん
四五 『現代評論』の「独立精神」
四六 『語絲』の文章形態は自然さの中に
四七 『婦女雑誌』における女性解放の理論
四八 『莽原』半月刊と未名社
四九 『莽原』所載魯迅の挿絵
五〇 『未名』半月刊を支えた青年たち
五一 「大紅袍」と故郷の夢
五二 六朝墳墓口画像による独特の装幀
五三  ロシア文学の影響二題
五四  二〇年代におけるロシア文学の紹介

第三章 一九二七年 ― 一九三六年

五五 『創造月刊』から『文化批判』へ
五六 『新月』の詩風と政論
五七 『奔流』に紹介された三人の作家
五八 ゴーリキー、トルストイについての『奔流』の見方
五九 『芸苑朝華』から『十竹斎箋譜』まで
六〇 『イブの日記』と『勇士ヤーノシュ』に対する情熱と無関心
六一 「矛盾」の中で育てられた茅盾の文学魂
六二 老舎作品の装幀と挿絵の文化的情緒
六三 巴金の『激流三部曲』
六四 丁玲小説の描写方式の変化
六五 『北斗』における母親の胸の内
六六  梅雨どきの憂鬱、「上海屋簷下」
六七 張天翼の「鬼土日記」
六八 『現代』のスタイル
六九 『望舒草』の現代夢
七〇 英国式のユーモアを採りいれた『論語』
七一 『《申報》自由談』の「自由」世界
七二 月刊『文学』の優れた編集
七三 『文学季刊』の寛容と『水星』の雅趣
七四 現代新劇の成熟の指標、「雷雨」
七五 『世界文庫』の壮大な企画
七六 豊子トと縁縁堂
七七 沈従文の湘西世界
七八 奴隷叢書三種類
七九 『訳文』の視野と容量、興味
八〇 『太白』の豊かさと鋭さ
八一 『文飯小品』の穏やかさと、淡泊な上品さ
八二 『芒種』における耕耘者の願い
八三 『雑文』『質文』海外で雑文のために気勢をあげる
八四 現実に対する『中流』の執着

第四章 一九三七年 ― 一九四九年

八五 『吶喊』『烽火』身を救亡の大波に投ずる
八六 『七月』沈鬱な詩風を力強く放つ
八七 『文芸陣地』編集の力量
八八 『抗戦文芸』の民族的激情
八九 艾青の土地と太陽に対する沈鬱な礼賛
九〇 臧克家の泥土の苦吟
九一 歴史的な共鳴―「天国春秋」
九二 長く響く警鐘―「李闖王」
九三 『野草』の雑文の時代的性格
九四 『山洪』と呉組の戦時郷土への思い
九五 『飢餓的郭素娥』の強い生命力
九六 師陀の観照―都市と田舎の文化的性格に対して
九七 張愛玲、美人画に不安感を添える
九八 『万象』における新旧文学の巨溝の橋渡し
九九 『文芸復興』の気迫と慧眼
一〇〇 銭鐘書『囲城』の知性と諧謔味
一〇一 巴金『寒夜』に対する沈思
一〇二 九葉詩派の三弦琴
一〇三 「ゲーテの流行」がすぎた後の『ファウスト百三十図』
一〇四 「地図をもたぬ旅人」蕭乾
一〇五 延安の文学に対する『中国文化』の企画
一〇六 『解放日報』副刊の戦闘性と民間の味わい
一〇七 趙樹理の「文ぶん攤たん」
一〇八 四〇年代詩壇の「西北風」
一〇九 張恨水の三大奇書


跋余

訳者あとがき

索引 

 

【著者略歴】

楊義 (ようぎ)
1946 年、中国広東省電白県に生まれる。博士(文学)。現在、中国社会科学学部委員、中国社会科学院文学研究所所長。著書に『中国現代小説史』全3巻(人民文学出版社、1986、1988、1991)、『楊義文存』全9巻(人民出版社、19971998)『重絵中国文学地図』(中国社会科学出版社、2003)『通向大文学観』(安徽教育出版社、2006)等多数ある。

張中良 (ちょうちゅうりょう)
1955 年、中国黒竜江省ハルビン市に生まれる。中国社会科学院研究生院博士課程。博士(文学)。現在、中国社会科学院文学研究所教授級研究員、現代文学研究室主任。著書に『芸術与性』(河北人民出版社、1990)、『覚醒与扎』(東方出版社、1995)、『五四時期的翻訳文学』(秀威資訊科技、2005)、『学術的時髦的陥穽』(秀威資訊科技、2006)等多数ある。訳書に『〈人〉与〈鬼〉的糾葛』(丸尾常喜原著、人民文学出版社、1995)等がある。

中井政喜 (なかいまさき)
1946 年、愛知県常滑市に生まれる。名古屋大学大学院文学研究科博士課程。2004 年、博士(文学)。現在、名古屋外国語大学教授、名古屋大学名誉教授。著書に『一九二〇年代中国文芸批評論』(汲古書院、2005)、『魯迅探索』(汲古書院、2006)等がある。

 

【訳者略歴】

森川(麦生)登美江 (もりかわ(むぎお)とみえ)
1945 年、長崎県佐世保市に生まれる。九州大学大学院文学研究科博士課程。修士(文学)。現在、大分大学経済学部教授。論文に「呉人―憂愁から厭世へ」(『野草』第12 号、1973)、「『品花宝鑑』の登場人物について」(『野草』第47号、1991)、「モンゴルの民族服飾」(『南腔北調論集』、東方書店、2007)、「チベットの歴史と民族服飾について」(上)(『大分大学経済論集』第58 巻第5号、2007)等多数ある。

星野幸代 (ほしのゆきよ)
1968 年、東京都に生まれる。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程。2002年、博士(文学)。現在、名古屋大学大学院国際言語文化研究科准教授。著書に『徐志摩と新月社』(東京大学人文社会系研究科博士論文ライブラリー、2002)、『ジェンダーを科学する』(共著、ナカニシヤ出版、2003)等、論文に「凌叔華と〈新月社サロン〉」(『日本中国学会報』第46 集、1994)等多数、訳書に『纏足をほどいた女たち』(共訳、朝日新聞社、1998)等がある。

中井政喜
著者欄参照。