
比嘉佑典 著
A5判・上製・416頁
定価6,300円(本体6,000円+税)
ISBN978-4-284-10180-6
2009年11月
2011年 第3回 日本創造学会著作賞 受賞
わが国における本格的な「遊びと創造性研究」の学術書!
本書の主眼は、「遊びの大地にこそ、創造性の大樹は培われる」ということである。遊びの世界を通らずして大人になった人は誰一人としていない。みんな遊んで大きくなった。遊びの中に、大自然の成長の法則があり、創造性開発の根源がある。本書は、この観点から、子どもの遊びを中心に「教育的見地」から遊びの意義とその創造性を考察したものである。研究者はもとより保育者、幼稚園教諭、教師、学童保育者の必読書!
【目次】
はじめに
序章 遊びの創造性理論の新たな構築
1 研究の目的
2 本研究がめざす新たな分野
3 研究の内容
4 研究の方法
5 本研究の全体構成の概要
6 年号および表記・表示の方法
第1章 遊びの学説と先行研究の検討
1 遊びの学説
2 創造的遊戯論の先行研究
3 代表的遊びの研究者
4 遊びの研究者と創造性研究者の見解
第2章 想像・創造・遊びの基本的関連
1 一卵双生児的な遊びと創造
2 人・創造する動物
3 想像力の本質
4 創造性の本質
5 遊びの本質
6 遊びと創造性
第3章 創造性と遊戯性の特性要因の分析と比較
1 知能因子と創造性因子
2 創造的性格と遊戯的性格
3 創造的技能と遊戯的技能
4 複合的能力概念としての創造性と遊戯性とその目的
5 創造の過程と遊戯の過程
6 再び遊戯の力動性と創造力について
第4章 遊びと自己実現の創造性
1 マスローの至高経験と自己実現
2 自己実現としての創造性
3 遊びと至高経験
4 遊びと自己実現の創造性
5 自己実現とフロー体験
第5章 手の創造性と手づくり遊び
1 手の創造性の本質
2 手づくり遊びと創造性
第6章 玩具・玩物における創造性
1 玩具・道具の原型―手から生まれた道具と玩具
2 古代の玩具
3 創造的な玩具
4 遊戯の本質と玩具の創造性
5 玩物と拡散的思考
6 創造性の発達とおもちゃ
7 創造的な玩具研究と評価方法
第7章 描画遊びと積み木遊びにおける創造性
1 発達の逆説的な問題提起
2 描画遊びと創造性
3 積み木遊びと創造性
第8章 ことば遊びにおける創造性
1 ことば遊びの世界
2 ことば遊びの創造性の視点
3 子どものことば遊びと発想力
4 情報化時代のことば遊びと創造性
5 発想力開発としてのことば遊び
第9章 ごっこ遊びにおける創造性
―集団遊びとクリエイティブ・ドラマチックス
1 演技する人間と遊戯する人間
2 ごっこ遊びと演劇
3 劇遊びとクリエイティブ・ドラマチックス
4 集団的なごっこ遊びと集団的創造性
5 ごっこ遊びと創造の構造
第10章 遊びの治癒力と創造性
1 病める子どもと遊び―病気をもつ子どもから遊びへの接近
2 病児の遊びと創造性
3 遊びにおけるフロー体験と創造性
4 遊戯療法と創造性
5 創造的自然の治癒力と遊びにおける創造的治癒力
終章 まとめと今後の課題
1 創造・創造性の視座のまとめ
2 本研究における遊びと創造性の研究結果のまとめ
3 今後の研究課題
おわりに
索引
【著者略歴】
比嘉 佑典 (ひが ゆうてん)
1940年 沖縄県名護市屋我地島に生まれる。1964年 琉球大学教育学部技術教育学科卒業(教育学士)。1970年 東洋大学第二部文学部教育学科卒業(文学士)。1972年3月 東洋大学大学院社会学研究科修士中途退学。東洋大学文学部教育学科助手、講師、助教を経て、東洋大学文学部教育学科教授。2001〜2003年 東洋大学アジア文化研究所所長。2003〜2010年 東洋大学アジア地域研究センター長。
専門分野:創造性教育 児童文化 社会教育
著書:『創造性開発の心理と教育』(単著)学苑社(1980)/『教育学講義』(編著)学苑社(1986)/『創造と教育』(共著)共立出版(1986)/『子どもの手の遊びと労働・乳幼児編』(共著)ミネルヴァ書房(1980)/『子育て大変な時代』(共著)教育開発研究所(1996)/『発達と文化の教育学』(編著)大空社(1999)/『福祉教科教育法』(共著)ミネルヴァ書房(2002)/『世界の創造性教育』(共著)ナカニシヤ出版(2005)/『児童遊戯賛歌―子ども文化の源流―』(単著)ゆい出版(2008) など