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 【解説】 高橋喜久江
 (日本キリスト教婦人矯風会・売買春問題ととりくむ会)

  全6巻・A5判・上製・総2,500頁
  定価88,200円(本体84,000円+税)

  ISBN978-4-284-10200-1
  2009年10月 

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  • 徳富蘇峰・蘆花の姪として生まれ、独立独歩の伝道を志す牧師の父のもとで育ち、明治から戦後まで、終生、信念と愛をもって生きた久布白落実。公娼制度の廃止をはじめ、性と社会の問題に取り組んだ、その生涯をたどる初の著作集。
  • 自伝の傑作として知られる『廃娼ひとすじ』を収録。
  • 婦人参政権関連論文や、戦後の性教育における貴重な文献である『純潔教育はなぜ必要か』など、公的な活動に関する資料を収録。
  • 折々の信仰を綴った文章を晩年に集成した『日日(ひび)の食物』を収録。久布白落実の並外れた行動力を支えた内面にも目を向けた巻構成。

【底本および各巻内容】

第1巻
父 (大正9[1920]年 東京市民教会出版部)

熊本医学校/蹉跌/復活の曙光/同志社/秩父/大宮町/上州伝道/独立の苦闘/初洋行/航海/ホノルゝ独立教会/母病む/渡米/桑港/大地震/矢島揖子渡米/矯風会の設立/父の苦心/熊知と実/愛の芽の生長/日か米か/在米邦人当時の状況/帰朝/親子の睦み/父倒る/あゝ在米の父 ほか

独立伝道者であった父の伝記であり、かつ久布白落実の若き日の心の揺れ動きを活写した半自伝的作品。
明治大正期のハワイおよびアメリカ西海岸の日経移民社会に関する記述も興味深い。


第2巻
女は歩く (昭和3[1928]年 市民協会出版部)

第1篇 世界半週百日の旅
出立/三十五日の航海/エルサレムにて/北欧を訪ふ/露西亜
第2篇 世界全週の六ヶ月
第一 米国篇 第二 欧州篇

キリスト教界の国際会議出席を機とした百日間の世界半周と、矯風会万国大会出席と海外の婦人運動の視察を兼ねた半年におよぶ世界一周。2つの旅を、各国の国情に目を向けながら、時にユーモアの漂う筆致で綴る旅行記。


第3巻
婦人参政権関連論文(『婦人新報』より)
(大正10[1921]〜14[1925]年 日本キリスト教婦人矯風会)

婦人参政権とは何ぞや/八月/社会改善の歓喜/日本婦人参政権協会/公娼全廃教育運動の跡を省みて/我等の稱ふる婦人参政権/入学試験撤廃と婦人参政権/市民としての婦人/公民となるまで/婦人参政権の要求/婦人参政権運動を顧みて

矯風問題(『社会政策大系 第9巻』より)
(昭和11[1927]年 大東出版社)

矯風問題とは何ぞや/禁酒問題/廃娼問題/平和問題

新日本の建設と婦人 (昭和6[1931]年 教文館出版所)

経済難/女難の解放/平和問題と女性/政治と女性/労働問題、思想問題に関して/女性と信仰

基督教婦人矯風会の機関誌に発表した婦人参政権に関する論文、一流の執筆者による社会政策論集で、久布白が執筆した論文、女性の社会的権利と使命を訴えた論説集など、社会に向しての主張、発言の数々。


第4巻
父と良人 (昭和11[1936]年 東京市民教会出版部)

第1編 父 幼少年時代/青年期/沈黙の八ヶ年/更生の父/若き伝道者/父と独立教会/父と宣教師/ハワイ行き/北米の野に/父と伝道団/父の説教集 ほか
第2編 良人 観音様の申子/進歩的家庭/青年期の蹉跌/渡米/独立教会の幹事/ハアバート大学に遊ぶ/結婚/シヤトル時代/帰朝大阪より高松へ/東京市民教会の創立/良人の説教集 ほか

久布白は同書の広告に寄けた文中で「…逝きし父と良人に負う所甚大であるのを今更の如く思う…」と述べている。父大久保真次郎と夫久布白直勝、それぞれの生涯と説教業を収録した、2人の男性の記録。

第5巻
純潔教育はなぜ必要か(『純潔教育シリーズ 2』)
(昭和24[1949]年 社会教育連合会)

純潔教育の目標/純潔教育の方針/純潔教育の対象/純潔教育の場所/純潔教育の方法/純潔教育の諸問題

五十年の歩みと五十日の旅 
(昭和30[1956]年 日本基督教婦人矯風会本部)

調査研究の方法/国連における最近の動き/性病対策に関して/性教育・純潔教育に関して ほか

日日の食物 (昭和46[1971]年 私家版)

文部省関連団体から発行された性教育(純潔教育)の理論・指導書、売春防止法制定後の指剣として各国の更生施設、性病対策を視察した報告書と、信仰を書き留めてきた文章の集成。公の活動と私的な内面を1冊に収録。

第6巻
廃娼ひとすじ (昭和48[1973]年 中央公論社)
生いたち/廃娼へのたたかい/売春のない世界のために

解説(高橋喜久江)

文字どおり「ひとすじ」の信念に貫かれた生涯を語った自伝であり、明治・大正・昭和にわたる、時代の貴重な証言でもある。晩年の秘書役を務め、久布白をもっともよく知る一人である高橋喜久江による解説を付す。

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