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  【解説】 大泉 溥 (日本福祉大学教授)

  全6巻・A5判・上製・総2,900頁
  定価89,250円(本体85,000円+税)

  ISBN978-4-284-10193-6
  2009年11月

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  • 日本の心理学研究を創始し、また児童研究の草分けとして業績を遺した高島の初めての著作集。
  • 心理学や児童研究を基軸に、教育学、体育、女性と育児・家庭教育などの分野における代表著作を収録。高島の学問観を捉え、さらにその業績も合わせて鳥瞰できるよう編集。
  • 第6巻巻末に、大泉溥による「解説」と「年譜」を付す。収録文献それぞれの由来や内容の丁寧な解説は、高島の学的業績や、わが国の心理学および児童研究の史的考察に欠かせないもの。


【底本および各巻内容】

第1巻

『師範学校教科用書 心理綱要』 明治26年、普及舎
高島の処女作で、日本の心理学の新時代を切り拓いた代表的著書。当時の欧米心理学会の最新動向を踏まえた上で独自の視点から、書きまとめている。
〈主要目次〉
総論/知性(覚性・観念ノ再生・悟性)/感性(感覚的感応・観念的感情)/意性

『心理漫筆』 明治31年、開発社
日常経験における心理学の応用を、教師や父母たちに向けて分かりやすく説いた啓蒙書。冒頭に掲載している「我国の心理学史」は、日本心理学の黎明期における史的記録としても記録。
〈主要目次〉
我国の心理学史/精神現象の区分/社会心理学/死/動物心理/戦争と発狂と/夢/心身の相関の例/仏/刺激と容貌との関係/女性の心理/途上の心理研究/板垣伯の三戒

第2巻

『新撰教育学講義』 明治34年、帝国通信講習会
小学校教員および教員を志す者を対象に、教育の原理や方法・目的を述べたもの。「人の教育に適する所以」や「被教育者の身体」など興味深いテーマが並ぶ。
〈主要目次〉
教育の定義/人の教育に適する所以/教育の限界/教育学は如何なる科学か/被教育者の身体/被教育者の精神/目的論/方法論(上)(下)

『女子新教育学』 明治37年、訂正再版、啓成社
中等教育を受ける女子および一般家庭の女性たちが、教育学における学説を得て、実地における児童の教育に役立てることを目的とした。
〈主要目次〉
緒論/心のさま(心・記憶及びその教育ほか)/家庭の教育(家庭の教育者・心育ほか)/幼稚園の教育/学校の教育

第3巻

『体育原理』 明治41年、第4版、育英舎
身体教育と精神教育の関係性を重視し、生理・解剖・衛生のみならず、倫理・心理・教育・社会・生物学等の基礎知識を踏まえた研究を提唱。体育に対する新しい認識を示したものとして高く評価された。
〈主要目次〉緒論(体育ノ必要・生活現象・身体ノ発育・心身相関論ほか)/本論(体育ノ範囲・運動教授論・学校衛生・性育論ほか)/体育史(体育ノ起源・ヤーンノ事業・我邦ニ於ケル体育ノ変遷ほか)


第4巻

『児童心理講話』 明治44年、第15版、広文堂書店
児童研究においてはじめて公にした書で、高島の名を全国津々浦々に広めた。児童研究の学術書としてよりはむしろ、親や教師が子どもを理解するための参考書として出版。
〈主要目次〉児童心理と教育との関係(上)(下)/胎児期及び嬰児期(胎児の心・嬰児の感覚ほか)/幼児前期(自発活動・愛情ほか)/幼児後期及び少年期(好奇心の発動・残忍性の発現ほか)/青年期(発情期的発達・青年指導の注意ほか)

第5巻

『婦人の為めに』〈大正名著文庫31〉 大正7年、再版、至誠堂書店
明治以降の女性たちの関心の広がりに応えるため、心理問題をはじめ社会・教育等に関する談話筆記をまとめた、いわば啓発の書。
〈主要目次〉婦人と心理(笑の話・姑の心理ほか)/婦人と社会(婦人十訓・家庭の趣味ほか)/婦人と教育(家庭教育の基礎・夢の教育ほか)


第6巻

『心理学綱要』 大正15年、再版、広文堂
旧著『教育的心理学』を大幅に改稿し、心理学の基礎から応用までの概念を得られるようまとめる。図解も豊富で、各章末には題目を掲げ、考察・まとめに役立つよう構成。
〈主要目次〉緒論(定義及び略史・精神作用の生理的基礎)/感覚階級(感覚・感情概説・意志概説)/表象階級(知覚・表象及び記憶・情緒)/思想階級(思想作用・情操)

解説・年譜(大泉 溥)

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