
和辻哲郎 著
A5判・上製・280頁
定価5,040円(本体4,800円+税)
ISBN978-4-284-10232-2
2010年3月
正義の理解なしにただ練習によって正しい行ひをするとすれば、その行ひは実は正しい行ひではない。正しい行ひをなし得るといふことは、正しさを知ってゐることである。技術は知を含む。知に導かれなければ技術は真に技術であることが出来ない。 「Ⅱ 倫理学の創始者ソークラテース」より
【目次】
Ⅰ
国民全体の表現者 封建思想と神道の教義 民族的存在の防衛
われわれの立場
Ⅱ
童貞聖母 人類の教師 倫理学の創始者ソークラテース
アリストテレースのポリス的人間学
Ⅲ
漱石の人物 藤村の個性 露伴先生の思ひ出
外の思ひ出 日本民俗学の創始者
Ⅳイタリア古寺巡礼
年譜収載論稿一覧表
【著者略歴】
和辻 哲郎 (わつじ てつろう)
哲学者、倫理学者。1889〜1960年。兵庫県生まれ。東京帝国大学哲学科卒業。東洋大学、法政大学教授を経て、1931年京都帝国大学教授、1934年東京帝国大学教授となる。ハイデガー哲学の解釈を通して、人間を人と人の間にあるものとして捉え直そうとする日本的人間観に基づいた「倫理学」を確立する。また、西洋的教養の視点から日本への関心を深め、日本や東洋の思想・文化史研究でも活躍。著作に『古寺巡礼』『風土』『人間の学としての倫理学』など。