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シュリーディーヴィ・レッディ 著

四六判・上製・240頁
定価2,940円(本体2,800円+税)

ISBN978-4-284-10214-8
2010年3月

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日本初の女性劇作家である長谷川時雨が主宰した雑誌『女人芸術』誌上で展開された「座談会」記事を分析・検討!!

同誌で展開された「座談会」を、抑圧的な社会・政治制度に対抗する当時の女性の「なまの声」を反映するもとの位置づけ、そこで1920〜30年代にあらわれた〈モダン・ウーマン〉がどのように表象されていたかを追究する。また、当時のセクシュアリティ、婦人参政権運動、ジェンダー、帝国主義、同時期の女性による雑誌メディア、文学界の状況、プロレタリア文学運動などにも複眼的に照射する。インドにバックグラウンドを持つ女性研究者による、現代社会にも通ずる実証的な意欲作!!

【目次】

まえがき 

序章
 第1節 〈モダン・ウーマン〉について
 第2節 長谷川時雨について
 第3節 『青鞜』廃刊後登場した女性の手による雑誌
 第4節 『女人芸術』の内容・表紙
 第5節 本書の研究方法と目的
  1 情報媒体としての「座談会」の特徴
  2 『女人芸術』における座談会  3 先行研究の概要
  4 問題設定と本研究の特徴  5 本書の構成

第1章 恋愛言説・セクシュアリティ・〈モダン・ウーマン〉
     ―「多方面恋愛座談会」と「異説恋愛座談会」を中心に―
 第1節 はじめに
 第2節 時代背景と同時代評
 第3節 昭和初期の恋愛空間
 第4節 「多方面恋愛座談会」および「異説恋愛座談会」を中心に
      ―テキストが語る諸恋愛観
  1 神近市子の恋愛論  2 生田花世の恋愛論
  3 長谷川時雨の恋愛論  4 八木秋子の恋愛論  
  5 伊福部敬子の恋愛論  6 望月百合子の恋愛論
 第5節 まとめ 

第2章 婦人参政権の言説
     ―「公人腐敗・検察談話会」を中心に―
 第1節 はじめに
  1 婦人参政権の背景  2 先行研究
 第2節 『女人芸術』の婦人参政権運動に関する記事
  1 問題提起  2 同時代評 
 第3節 座談会の内容・参加団体について
 第4節 婦人参政権の要求
     ―東京市政における市政浄化運動は婦人の政治教育として
 第5節 まとめ

第3章 〈男〉の言説 (1)
     ―「男性訪問1〜6」に見られるシュアリティ「断髪」を中心に―
 第1節 はじめに 
  1 問題提起  2 時代背景
 第2節 「髪」―セクシュアリティの象徴
 第3節 「断髪」という規範を中心に
  1 文明開化と〈断髪〉  2 女の場合は
  3 束髪から断髪へ
 第4節 支配する「性」からの解放としての「断髪」
  1 「男性訪問―1 里見弴―大井さち子」の場合
  2 「男性訪問―2 三上於菟吉―今井邦子」の場合
  3 「男性訪問―3 市川左団次 長谷川春子」の場合
  4 「男性訪問―4 菊池寛―北村兼子」 の場合
  5 「男性訪問―5 安部磯雄―八木秋子」の場合
  6 「男性訪問―6 西條八十―英美子」の場合
 第5節 まとめ

第4章 〈男〉の言説(2)
     ―「女性欠点摘発座談会」を中心に―
 第1節 はじめに 
  1 問題提起  2 先行研究
 第2節 テキストの内容・特徴
  1 参加メンバーと座談会のルール
  2 欠席者とその欠席に関する理由
  3 座談の流れ―話題に挙がったテーマ
 第3節 〈女〉と〈家〉制度におけるドメスチック・イデオロギー
  1 〈家〉制度から「家庭」へ  2  〈女〉の職業従事をめぐって
 第4節 〈一夫一婦〉という概念をめぐって
 第5節 男が指摘した〈女の欠点〉
  1 婦人運動に関する男の言説  2 避妊問題に関して
  3 女の外見と化粧
 第6節 まとめ

第5章 〈母性〉の言説
     ―「母としてめざめなければならない時相座談会」を中心に―
 第1節 はじめに
  1 先行研究  2 問題提起
 第2節 〈母性〉という概念   
  1 〈母性〉の定義  2 母性保護論争
 第3節 座談会にあらわれた〈母性〉のありよう
  1 座談会について  2 座談会の内容の分析
 第4節 まとめ

終章
 第1節 座談会という情報媒体
 第2節 本研究の成果
 第3節 〈モダン・ウーマン〉の行方
 第4節 今後の研究展望

参考文献一覧

あとがき 

【著者略歴】

シュリーディーヴィ・レッディ (Sreedevi Reddy)

インド(バンガロール)生まれ
1991年5月 ネール大学外国語学部日本語学科卒業
1993年5月 ネール大学大学院外国語学部日本語学科修士課程修了
1996年9月 デリー大学大学院文学部中国・日本研究科M.Phil単位取得満期中退
1996年10月〜1999年3月 東京大学大学院文学部日本文学研究室特別大学院交換留学研究生
2001年3月 筑波大学大学院地域研究研究科日本文化専攻修士課程修了
2005年3月 筑波大学大学院文芸・言語研究科文学専攻博士課程修了
2006年4月〜 静岡大学情報学部情報社会学科准教授

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