
中野好夫 著
A5判・上製・272頁
定価5,040円(本体4,800円+税)
ISBN978-4-284-10236-0
2010年5月
正直にいって、ぼくらは、もはや自由への闘いを、ただ手放しのオプティミズムをもって考えることは、とうていできない。それほどにも人類の歴史は、自由の名において多くの悪を犯して来ているのである。だが、大切なことは、それでもぼくらは、自由のために闘わなければならないのだ。 「Ⅰ 自由のための闘い」より
【目次】
Ⅰ
自由のための闘い 平和について 国民のいない政治
人間の名において 池の蛙と子供たち―「死の灰」問題の一側面―
ある隷属国の悲劇―ボリビア共和国の場合―
Ⅱ
真実はつくられるものか 平和を保証せぬ安全保障
私の平和論―小泉氏の「平和論」に答える―
汚された道義性―ミグ事件について―
『赤線基地』の問題点 最近の反米感情
基地問題の背後にあるもの 李ラインの皮肉
Ⅲ
憲法七年 天皇制について
参院選挙について労働組合へ一言
菅生事件の“戸高節”―公判傍聴の印象と意見―
奇々怪々菅生事件
Ⅳ
私の信条 怒りの花束 大学教授という名の人間
大学教授始末記 重役諸君への警告 アメリカ感傷旅行
Ⅴ
言語と社会 再建日本と国語の問題 川路聖謨のことども
迷訳ばなし 僕婢奉公訓抄 西園寺さんが来てやで 八角時計
年譜
【著者略歴】
中野 好夫 (なかの よしお)
評論家、英文学者。1903〜1985年。愛媛県生まれ。1926年東京帝国大学文学部英文学科卒業。中学校、師範学校の教師を経て、1948年から東京大学教授、1953年辞職。雑誌『平和』の編集長として活躍、合理主義に基づく平明で硬質な視点から社会時評を展開し、憲法擁護、反安保、沖縄返還などの運動に尽くした。著作に『蘆花徳冨健次郎』『人間の死に方』、訳書に『ガリヴァ旅行記』など。