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  奥野信太郎 著

  A5判・上製・284頁
  定価5,040円(本体4,800円+税)

  ISBN978-4-284-10267-4
  2010年10月

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われわれがよくよく考えなければならないことは、文化的恩恵をうけるだけがけっして文化そのものではないということだ。……なるほど自動車は文化文明の所産かもしれないが、それに乗ったからといってその人間が乗らない人間より文化的に進歩したとはいえない。  「世代のかけ橋 山のあなたの空遠く」より

【目次】

人工楽園の薔薇
 人工楽園の薔薇  中国文学とは  丁玲
 舌の伝統  比較文学以前

考える庭
 考える庭  煎餅蒲団と茶漬  曝書  購書と売書
 与謝野先生の漢詩  常磐津とドストイェフスキー  よろめき
 漂泊者文芸の流れ  影  雑器のうつくしさ  白雲茫々
 陶晶孫回憶  梅原画伯訪問記  陽春の望み
 十年の肺渇今夕平かなり  能の字幕  俳優の文章
 秋涼し  楽しい食事

夢を買う男
 夢を買う男  左官屋・火事・インテリ  退屈読本  ストライキ
 一畳半の差  ごまかされ  井戸は掘ったけれど
 愛嬌づきあい  心臓のない男  道聴塗説  寂寥のない逸楽
 あれとこれ  共産党と江戸小唄  春のメランコリア
 真珠貝の一生  鳥の声  猫  秋の庭  古フィルムの夢
 はやりすたり  座談会の飲食

世代のかけ橋
 世代のかけ橋   英雄製造  通訳雀  連歌盗人
 サラリーマンのために  演技  山のあなたの空遠く  短い靴下
 穆公の馬  不条理の哲学  借金  隣人恃むべからず
 善酔乱酔  型の魅力  おかしみの有無  過不足のない事
 てらい  魅力談義

命を惜しむ
 命を惜しむ  鴛鴦  怖いという思い  酒徳のうつくしさ
 厠通い  うちなびく春を近み  運命  町角に佇むわれは
 ああ人生は幻か  老人について  憩について
 へそくり  善意の小出し  うちひさす都大路の
 愛憎逃避行  坂田山心中  男女の賭博

夢は虹のように
 夢は虹のように  落葉のころ  個人の名前  挨拶
 悲し痺れは  まけ惜しみ  果報は寝て待て  存分怠けたい
 喧嘩  ゆきちがい  及落銓衡会議  足音の相
 禿げまた愉し  食べる  たべもの  名前野菜  酒癖
 酔虎伝  愛猫記  蒐集癖

寂光
 驪山への旅  天下第一泉  水のある風景 花木の記
 竹について  寂光  福聚寺の庭  豚塚  市兵衛町界隈
 旅先の女の美しさ  一色の悲しみ

 

【著者略歴】

奥野 信太郎 (おくの しんたろう)

中国文学者、随筆家。1899〜1968年。東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。北京留学を経て、1948年同大教授。中国文学を講ずる傍ら、数多くの軽妙な随筆で人気を博す。座談の名手としてラジオ・テレビに活躍した異色の文人教授でもあった。著作に『日時計のある風景』『文学みちしるべ』『はるかな女たち』など。

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