
辰野 隆 著
A5判・上製・272頁
定価5,040円(本体4,800円+税)
ISBN978-4-284-10272-8
2010年12月
社会に貧富の差の存するのは已むを得ぬとはいえ好い事ではない。貧富の懸隔の甚だしいのは明らかに社会悪である。この社会悪は徐々に改めなければならない。それを改めるには――革命? 否。……革命の哲理が革命の行動によって誤られなかった例は未だ嘗てない。 「Ⅰ 日本人」より
【目次】
Ⅰ
昨日までの日本 日本人 身にあまる事ども 書斎から見た政界
顔 女性 高等教育とフランス語 仏蘭西人とは
スポーツと勉学 小学唱歌 落第自叙伝
Ⅱ
仏蘭西文学とは モリエエルの喜劇について 『シラノ』閑言話
フイガロの結婚 ユウゴオ五十年 スタンダアル寸観
バルザック考 フロオベル瑣談 笑の考察(ボオドレエルとベルグソン)
モーパッサン考 マラルメの印象 アルチュウル・ランボオ
『にんじん』の作者 現代仏蘭西文学者一覧
アナトオル・フランスに就て ジャン・コクトオ メエテルリソク
Ⅲ
愛書癖 書狼書豚 書物のゆくえ 書斎
我等の露伴 一冊の本
Ⅳ
水泳 野球 ゴルフ 酒 食物
映画その他 旅のたより
Ⅴ
日銀を立てた雷おやじ わが母の記 辰野四兄弟のこと
忘れ得ね風 若い友だち(東大時代の教え子たち)
【著者略歴】
辰野 隆 (たつの ゆたか)
フランス文学者、随筆家。1888〜1964年。東京都生まれ。東京帝国大学法科大学仏文科卒業。フランス留学を経て、日本人ではじめて母校のフランス文学講座を担当、のち中央大学教授。古代から近代までの詩・小説・戯曲研究を通じて、日本の文学にも新風をもたらす機縁をつくった。1948年日本芸術院会員。1962年文化功労者。著作に『ボオドレエル研究序説』『忘れ得ぬ人々』、訳書に『フィガロの結婚』など。