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  宮川敏春 著

  四六判・上製・208頁
  定価2,940円(本体2,800円+税)

  ISBN978-4-284-10326-8
  2011年5月 

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本書は、英国パブリック・スクールの再生と繁栄の礎石となったラグビー校校長トマス・アーノルドと、その息子で詩人・評論家であり学校視学官であったマシュー・アーノルドが、ヴィクトリア朝期の英国に与えた影響を文学・教育・時代思潮の側面から捉えなおそうとする試みである。『ソーラブとラスタム』をはじめとするマシューの長編詩を時代思潮に絡めて言及した論考、母語教育を与えることを思想と捉えた『英国における英語教育』に関する克明な分析、『聖ドミニク校五級生』の翻訳など、日本では未開拓な分野に挑んだ先駆的な1冊!

【目次】

はしがき

第一章 アーノルドとアポロン―『エトナ山のエンペドクレス』から批評主義へ―
 第一節 『エトナ山のエンペドクレス』の梗概
  一 第一幕の梗概
  二 第二幕の梗概
 第二節 『エトナ山のエンペドクレス』のプロットとアポロン
  一 エンペドクレスとカリクレス
  二 テュポンとアポロンが意味するもの
 第三節 アーノルドの詩の効用論

第二章 アーノルドと『ジプシーになった学者』―‘the Spark’の意味の多元性―
 第一節 『ジプシーになった学者』のプロット
  一 第一スタンザから第十三スタンザまで
  二 第十四スタンザから第二十五スタンザへ
 第二節 ‘the Spark’の意味の多元性
 第三節 Zeitgeist とUnpoetrylessness

第三章 アーノルドと『ソーラブとラスタム』
      ―非詩的時代におけるカタルシスの試み―
 第一節 『ソーラブとラスタム』の梗概
  一 両雄対峙までの描写
  二 悲劇の受容
 第二節 非詩的時代におけるアーノルド
 第三節 アーノルドとカタルシス

第四章 アーノルドの「最善の自己」再考―天才の特性と転移をめぐって―
 第一節 一八六五年前後とアーノルド
 第二節 「最善の自己」の再追跡
 第三節 「天才」の創出をめぐって

第五章 トールボット・ベインズ・リードと子ども観
      ―『聖ドミニク校五級生』を中心に―
 第一節 『ボーイズ・オウン・ペーパー』とリード
 第二節 『聖ドミニク校五級生』の梗概と「トム・ブラウン」の遺産
  一 『聖ドミニク校五級生』の梗概
  二 「トム・ブラウン」の遺産
 第三節 リードの子ども観と英国パブリック・スクール精神

第六章 『ニューボルト・レポート』に見る母語教育の思想
      ―階級統合とジェンダー・ギャップを通して―
 第一節 英国における母語教育の歴史
 第二節 『ニューボルト・レポート』に見る母語教育の思想
  一 母語学習に対する基本的姿勢
  二 母語学習と階級統合の思想
 第三節 ジェンダー・ギャップと教員の資質

初出一覧あとがき
 

【著者略歴】

宮川  敏春 (みやかわ としはる)

1953年 北海道生まれ
1984年 筑波大学大学院修士課程教育研究科教科教育専攻修了
北星学園余市高等学校教諭、北海道士別高等学校教諭、国立釧路工業高等専門学校助教授、国立高知工業高等専門学校人文科学系教授等を経て、2007年より同校総合科学科教授
英語・英文学、教育学専攻
日本英文学会、日本教育学会、教育史学会等会員

著書:『英国人らしさの理想と教育―ヴィクトリア朝期の訓育と母国語教育を中心に』日本図書刊行会発行・近代文芸社発売(1997)他

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