荻原 彰 著
A5判・並製・228頁
定価2,940円(本体2,800円+税)
ISBN978-4-284-10331-2
2011年9月
アメリカの環境教育に関する日本初の総合的研究書!
本書は、アメリカの環境教育の黎明期から現代に至るまでの歴史をたどり、環境教育が各時代の政治・思想動向と密接に関連しながら発展してきたことを明らかにする。また、「学力重視の教育改革」「環境正義」という2つの課題に対応するべく苦闘している現代の環境教育の姿を浮き彫りにする。 これまで断片的な紹介にとどまっていたアメリカの環境教育を概観することによって、日本の環境教育の方向性と課題を示唆する!
【目次】
はじめに
第1章 アメリカの環境教育――3 つの母体 Ⅰ ネイチャースタディー Ⅱ 自然保全教育 Ⅲ 野外教育
第2章 環境教育の胎動と発展
Ⅰ 環境に目覚めるアメリカ Ⅱ 『沈黙の春』の衝撃
Ⅲ 新しい環境思想・環境運動の登場 Ⅳ 環境教育の登場
第3章 環境教育の衰退と再生
Ⅰ 社会の保守化と環境への関心の低下
Ⅱ 反環境主義――ヨモギの反乱を事例として
Ⅲ レーガンの政策と環境教育 Ⅳ 環境教育の再活性化
第4章 苦闘する環境教育――批判者達との戦い
Ⅰ 下院教育労働委員会における環境教育批判
Ⅱ 地域や州レベルでの環境教育批判 Ⅲ 保守派知識人の環境教育批判
Ⅳ 環境教育批判への反批判 Ⅴ 環境教育批判と反批判の総括
第5章 新しい危機――学力重視の教育改革と環境教育
Ⅰ 学力重視の教育改革――レーガンからクリントンまで
Ⅱ NCLBとその背景 Ⅲ NCLBは学校をどう変えたのか
Ⅳ 学力重視の教育改革の環境教育への影響
Ⅴ 危機克服への試み Ⅵ 環境教育の反転攻勢――NCLIの結集
第6章 環境教育と正義の問題
Ⅰ 多文化主義と環境教育 Ⅱ 環境正義
Ⅲ 環境正義の立場からの環境教育への課題提起
Ⅳ 環境正義への環境教育の応答
注
結びにかえて――日本への示唆
【著者略歴】
荻原 彰 (おぎはら あきら)
1960年 長野県生まれ
1984年 筑波大学大学院教育研究科修士課程修了、長野県立高等学校教諭(2004年3月まで)
1999年 上越教育大学大学院学校教育研究科修士課程修了
2004年 三重大学教育学部助教授
2005年 兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科より博士(学校教育学)授与
2008年より 三重大学教育学部教授
著書・論文
『環境教育への招待』(共著)ミネルヴァ書房、2002年
『未来を展望する理科教育』(共著)東洋館出版、2006年
『環境事典』(共著)旬報社、2008年
「アメリカにおける学力重視の教育改革と教育改革に対する環境教育の応答及び日本の環境教育への提案」『環境教育』 第19巻第1号、2009年 ほか