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神藤貴昭 著

A5判・上製・244頁
定価(本体4,200円+税)

ISBN978-4-284-10336-7
2011年12月

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大学におけるファカルティ・ディベロップメント(教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称)の方向性を示唆する!

社会学者アーヴィング・ゴッフマンの「フレーム」理論を参考に、教員や学生が大学授業をどのように定義しているかを示す「大学授業フレーム」という概念を提唱し、大学授業において教員−学生間・学生−学生間の相互行為がどのように展開されているかを分析する。そのうえで、大学授業をどのように改善するべきかという課題に対し、臨床的研究を通じて、その答えを導き出す。

【目次】

第Ⅰ章 「大学授業フレーム」概念の導入―本研究の問題と目的および理論的前提―

はじめに/「大学授業」について/「フレーム」について/「大学授業フレーム」について/「大学授業フレーム」の多様性/これまでの「大学授業フレーム」研究/「大学授業フレーム」研究の方法/本研究の目的

第Ⅱ章 学生における「大学授業フレーム」の再構成―初年次教育に関連して―

はじめに

第1節 再構成される「大学授業フレーム」とその影響大学入学にともない再構成される「大学授業フレーム」の構造/再構成された「大学授業フレーム」と動機づけ・行動/奇異の経験と学習方略の変容

第2節 入学初年次において「大学授業フレーム」の「応答的変容」の場をつくる試み授業の概要/第1回目の授業について/第2回目の授業について/「大学授業フレーム」の「応答的変容」/「応答的変容」の場をどうつくるか

第Ⅲ章 教授者における「大学授業フレーム」による授業の定義とその調整

はじめに

第1節 教授者の「大学授業フレーム」と授業の進行教授者の「大学授業フレーム」の調整の実際/本授業における教授者の「大学授業フレーム」の調整

第2節 教授者の「ノリ」と「大学授業フレーム」一斉授業における教授者―学生間の相互行為/教授者の「ノリ」/ある授業における教授者と学生の相互行為―学生の「顔上げ行動」および授業過程と教授者の「ノリ」

第Ⅳ章 教授者のストレスと「大学授業フレーム」

はじめに

第1節 教授者のストレス

第2節 授業中のストレッサーに関する調査

第3節 授業中のストレス過程の分析授業中のストレッサーおよび対処行動/「大学授業フレーム」に着目した検討

第4節 教授者のストレスと自己成長

第5節 ストレス過程と「大学授業フレーム」

第Ⅴ章 学生主導型・サイバースペース利用による授業と
     「大学授業フレーム」の「応答的変容」
     ―KKJ実践・KNV実践をフィールドとして―

はじめに

第1節 学生主導型授業・サイバースペース利用と「大学授業フレーム」の「応答的変容」学生主導型授業―主体性と他者性を保証するために/サイバースペース利用―他者性と日常性を保証するために/KKJ実践とKNV実践

第2節 京都大学・慶應義塾大学連携授業(KKJ実践)における
     「大学授業フレーム」の「応答的変容」―学生に焦点をあてて
KKJ実践の概要/「大学授業フレーム」のゆらぎと授業の生成/本節のまとめ

第3節 KKJ実践における「大学授業フレーム」の「応答的変容」―教授者に焦点をあててKKJ実践における教授者の「大学授業フレーム」とその「応答的変容」/KKJ実践における教授者の介入/教授者の自大学・相手大学認識の発展

第4節 京鳴バーチャル教育大学(KNV)実践における「大学授業フレーム」の「応答的変容」KNV実践について/授業の流れ/教授者の学生への介入/授業全般における「大学授業フレーム」の「応答的変容」/電子掲示板における「大学授業フレーム」の「応答的変容」/「2班事件」―「大学授業フレーム」の「応答的変容」が困難だった例/本節のまとめと課題

第Ⅵ章 大学授業における相互行為と「大学授業フレーム」
     ―本研究の総括と今後の課題

はじめに/「大学授業フレーム」概念による相互行為分析の意義/学生における「大学授業フレーム」/教授者における「大学授業フレーム」/「大学授業フレーム」の「応答的変容」の実践/教授者と学生の相互行為による「大学授業フレーム」の調整/「大学授業フレーム」の形式的構造/「大学授業フレーム」概念導入の実践的意義/「大学授業フレーム」は何によって応答的に変容するのか/「大学授業フレーム」の「応答的変容」の場の設定/FD論への示唆/大学授業評価論への示唆/大学教育メディア論への示唆/研究成果の適用について/本研究の「焦点」について―教育臨床心理学に向けて/今後の課題

文献

あとがき

【著者略歴】

神藤 貴昭 (しんとう たかあき)

1972年 大阪府泉佐野市生まれ
1995年 神戸大学教育学部卒業
1998年 大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退
1999年 京都大学高等教育教授システム開発センター助手
2005年 徳島大学大学開放実践センター助教授
2008年 立命館大学経済学部准教授
現在 立命館大学文学部准教授、立命館大学教職支援センターセンター長
京都大学博士(教育学)
著書:「教授―学習過程」『シードブック 教育心理学』建帛社、2008年/「大学教育メディア論」『大学教育学』培風館、2003年/「青年期の心理と性格」『行動科学への招待―現代心理学のアプローチ』福村出版、2001年ほか

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