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岡﨑匡史 著

A5判・上製・456頁
定価(本体5,800円+税)

ISBN978-4-284-10365-7
2012年7月

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2013年 第29回 大平正芳記念賞特別賞 受賞
2013年 国際文化表現学会学会賞 受賞

*推薦* 西 鋭夫 (スタンフォード大学フーヴァー研究所 研究教授)

占領下日本で繰り広げられた神道とキリスト教の相克を、壮大な世界観と緻密な調査で描いた大著!

マッカーサー元帥は、なぜ日本のキリスト教化に失敗したのか。昭和天皇のキリスト教への改宗はあり得たのか。「人間宣言」の本来の意図とは。「神道指令」に隠されていた意義とは。米国の対日占領政策によって「日本帝国」が平和的な民主主義国家へ変貌を遂げていく姿を明らかにし、レジーム・チェンジ(Regime Change)に関する言及を通じて、互いに違いを認めて共存することができる「人間の安全保障」のあり方を模索する。

【目次】

序 章

第1章 無条件降伏と米国の対日占領政策
 序 節
 第1節 マッカーサー元帥
 第2節 「神話」と「ナショナリズム」
 第3節 精神革命
 第4節 宗教改革

第2章 「人間宣言」と「現御神」天皇論考
 序 節
 第1節 「人間宣言」渙発の経緯
 第2節 「現御神」天皇論考
 第3節 天皇「神格化」のメカニズム

第3章 国家神道論―「神道指令」と「国体護持」
 序 節
 第1節 「神道指令」発令
 第2節 「神道指令」の裏舞台
 第3節 神道指令と象徴天皇制 

第4章 占領・民主主義・キリスト教
 序 節
 第1節 宮中改革とヴァイニング夫人
 第2節 ボナー・フェラーズと国体護持
 第3節 キリスト教化運動
 第4節 学校教育と宗教

終 章


後 書
参考文献
索 引


【著者略歴】

岡 匡史 (おかざき まさふみ)

1982年、埼玉県生まれ。2005、年日本大学法学部卒業後、日本大学大学院総合科学研究科博士課程入学。在学中にサンディエゴ州立大学大学院政治学部留学、国際連合大学大学院、スタンフォード大学フーヴァー研究所で学ぶ。2010年、日本大学大学院総合科学研究科博士課程修了。博士(学術)学位取得。北東アジア経済フォーラムYoung Leaders Program Fellow, 2007 & 2011を経て、現在、日本大学大学院総合科学研究科 ポスト・ドクトラル・フェロー。

主要論文 “Chrysanthemum and Christianity: Education and Religion in Occupied Japan, 1945-1952,” Pacific Historical Review, Vol.79, No.3 (August 2010)

【推薦】

圧倒される本に出会う時がある。

優れた研究者が永年緻密な研究を続け、目がくらむような膨大な資料を収集し、その資料を吟味しつつ、使命感に駆られ、地図もない未踏の原野に出てゆき、そして輝かしい新しい作品を完成させる。それを手にした時の感動は、私自身が「知の世界」へ一歩踏み入れた瞬間に経験する畏敬の思いである。学問の美学を体験する時だ。

昭和20年の真夏に、日本文化が崩壊するほどの大きな傷を負った。それから、半世紀以上が経つ。だが、国民の文化遺伝子に染み込んでいる国の栄光と挫折、夢と絶望、開戦と敗戦の惨劇に、我々は無関心を装い続ける。国が記憶を失うと、個人が記憶を失うように、真っ暗な淵へ堕ちてゆく。

『日本占領と宗教改革』の著者である岡氏は、忘れかけていた生々しい占領の記憶を蘇らせた。占領の裏面史を、これでもかというほど炙り出す。硬派な学術書としての体裁を堅持しつつも、ページをめくっていると小説を読んでいるかのような錯覚さえ覚える。学術書に対する固定観念を覆してくれる。

『日本占領と宗教改革』は、敗戦国日本が「国体護持」に苦心していた姿を生き生きと浮き彫りにし、マッカーサー元帥の日本キリスト教化政策の全貌と失敗を解明することに大きな貢献をした。日米関係・占領史の研究者にとって必読の傑作である。

西 鋭夫 (スタンフォード大学フーヴァー研究所 研究教授)

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