
森田裕之 著
四六判・上製・244頁
定価(本体3,200円+税)
ISBN978-4-284-10372-5
2012年10月
ドゥルーズ=ガタリの議論を教育学の問題圏に引きよせて論じる初の研究書!
「ヘーゲルの弁証法」を思想的起源とする「発達(=人間化)」を基本概念としてきた従来の教育学の問題点を指摘した上で、ドゥルーズ=ガタリのシステム論を教育学的視座から創造的に再構築することで教育を再定義する。自然と社会を統一的に説明できる理論として再構築されたこのシステム理論は、「発達」「生成(=超人間化)」「再生(=脱人間化)」の諸概念を織り込み、またその絡み合いのもとで、教育は全く新しい顔貌を見せ、教育のあり方の問い直しを迫る。
【目次】
第1章 〈教育〉という謎
1 「教育とは何か」という問いによって本書を起動させる
2 「教育とは何か」という問いに答えてきた教育学とその問題点
3 「〈教育〉とは何か」という問いの再定立――問題提起
4 ドゥルーズ=ガタリから〈教育〉の再定義へ――本書の構成
第2章 ドゥルーズ=ガタリの自然理論の再構成
1 〈表現としての自然〉と〈質料としての自然〉
2 〈質料としての自然〉は〈表現としての自然〉へと地層化する
3 〈表現としての自然〉は〈質料としての自然〉へと脱地層化する
4 二つの〈自然〉からなる再構成されたドゥルーズ=ガタリの自然理論
第3章 ドゥルーズ=ガタリの社会理論の再構成
1 〈原社会〉からの〈社会〉の生成
2 〈単一の超越項をもった社会〉と〈多数の超越項をもった社会〉の成立
3 〈内在項をもった社会〉と〈超越項も内在項ももたない社会〉の成立
4 四つの〈社会〉からなる再構成されたドゥルーズ=ガタリの社会理論
第4章 自然−社会−教育理論の構築
1 〈発達としての教育〉の誕生
2 〈発達としての教育〉を超克する〈生成としての教育〉の誕生
3 〈生成としての教育〉に取って代わる〈再生としての教育〉の誕生
4 三つの〈教育〉を内包した自然−社会−教育理論
第5章 自然−社会−教育理論にもとづく〈教育〉の再定義
1 三つの〈教育〉は〈多=一〉という構造を形成している
2 〈教育〉とは〈多=一〉のことをいう―結論
註
引用参考文献
あとがき
【著者略歴】
森田 裕之 (もりた ひろゆき)
1967年 東京都生まれ
2002年 京都大学大学院教育学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(教育学)
2002年 京都大学教育学部研修員
2003年 名古屋芸術大学短期大学部専任講師
2006年 名古屋芸術大学短期大学部助教授
2007年〜現在 名古屋芸術大学人間発達学部准教授