
三品桂子 著
A5判・上製・608頁
定価(本体6,800円+税)
ISBN978-4-284-10382-4
2013年3月
ストレス脆弱性モデルからストレングス・レジリアンスモデルへの転換を目指して――
重い精神障害のある人の地域生活を、アウトリーチという手法を用いて、24時間・365日リカバリー志向で支援する「包括型地域生活支援プログラム」(Assertive Community Treatment:ACT)の実践スキルを、イギリス・アメリカ・日本での調査に基づき体系化する。日本初の民間ACTチームの理事長であり、日本で最も精神科病床数の多い鹿児島県で精神障害者アウトリーチ推進事業に取り組む支援チームのコンサルタントでもある筆者が、日本の専門職のスキルアップと精神保健福祉システムの変革を試みる。
【目次】
はしがき
序 章 本書の概要
第1節 研究の背景と問題意識 第2節 ACTとは何か
第3節 本書の目的 第4節 本書の構成
第Ⅰ部 本書の課題・意義・方法等
第1章 本書の課題・意義等
第1節 研究上の問い 第2節 本書の意義
第3節 本書で使用する用語 小 括
第2章 先行研究調査
第1節 精神障害のある人のケースマネジメントの技術に関する研究
第2節 英語圏のACTの実践スキルに関する研究
第3節 日本におけるACTの実践スキルに関する研究
第4節 書籍等によるACTの実践スキルに関する研究 小 括
第3章 研究の方法
第1節 質的研究法の採用 第2節 方 策
第3節 データ収集と分析のあゆみ 第4節 調査者の立場
第5節 調査の質の確保 第6節 倫理的配慮 小 括
第Ⅱ部 イギリスのバーミンガムにおける地域生活支援の理念とスキル
―援助者の理念と実践スキルの探究―
第4章 イギリスのバーミンガムにおける精神障害のある人の地域生活支援Ⅰ
―地域精神保健チームのスタッフからの聞き取り調査にみる援助者の理念―
第1節 調査地の概略 第2節 研究の方法等 第3節 結 果
第4節 考 察 小 括
第5章 イギリスのバーミンガムにおける精神障害のある人の地域生活支援Ⅱ
―精神障害のある人のライフを支える実践スキル―
第1節 研究の方法 第2節 結 果
第3節 日本の精神保健福祉士に示唆すること 小 括
第Ⅲ部 日本におけるACTの実践スキル―レジリアンスを育むスキルのプロセス―
第6章 日本の調査の概略 第1節 研究の方法 第2節 結 果 小 括
第7章 【ACTチーミング】
第1節 【ACTチーミング】スキルのストーリーライン
第2節 カテゴリー《即応性に富んだ超職種チーム》スキル
第3節 カテゴリー《実践と改革の循環ミーティング》スキル
第4節 カテゴリー《ACTとストレングスモデルのブレンド》スキル
第5節 カテゴリー《挑戦への環境づくり》スキル
第6節 新たなスキル等 小 括
第8章 【出会い】
第1節 【出会い】のストーリーライン 第2節 カテゴリー《家族と出会う》スキル
第3節 カテゴリー《家と出会う》スキル 第4節 カテゴリー《利用者と出会う》スキル
第5節 新たなスキル等 小 括
第9章 【レジリアンスの開花促進】
第1節 【レジリアンスの開花促進】のストーリーライン
第2節 カテゴリー《利用者の世界を訪れる》スキル
第3節 カテゴリー《生活世界の再構築支援》スキル
第4節 カテゴリー《アウトリーチ活用支援》スキル
第5節 新たなスキル等 小 括
第10章 【ケースマネジメント】
第1節 【ケースマネジメント】のストーリーライン
第2節 カテゴリー《ホスピタリティの関係づくり》スキル
第3節 カテゴリー《復権と新たな人生構築を目指した状況確認》スキル
第4節 カテゴリー《行きつ戻りつらせん型上昇》スキル
第5節 ‘移行’スキル 第6節 新たなスキル等 小 括
第11章 【家族支援】
第1節 【家族支援】のストーリーライン
第2節 カテゴリー《利用者のレジリアンスを育む環境づくり》スキル
第3節 カテゴリー《家族のリカバリー支援》スキル
第4節 サブカテゴリー〈家族へのケースマネジメント〉スキル
第5節 新たなスキル等 小 括
第12章 《変化する境界》
第1節 《変化する境界》のストーリーライン
第2節 新たなスキル等 小 括
第Ⅳ部 日本におけるACTの実践スキル体系化の試み
―アメリカの調査結果を踏まえて―
第13章 成功するACTチームをつくるための重要なステップとスキル
第1節 調査地の概要 第2節 研究の方法等
第3節 結 果 第4節 各カテゴリーの特徴
第5節 日本におけるACT実践スキルへの示唆 小 括
第14章 日本におけるACTの実践スキル体系化の試み
第1節 日本におけるACTの理念と実践スキルの課題
第2節 イギリスのバーミンガムで用いられているスキル
第3節 アメリカで用いられているスキル
第4節 日本におけるACTの実践スキル体系化の試み 小 括
終 章 ACTの実践スキルと地域精神保健システム
第1節 本研究のオリジナリティ 第2節 5つの問いかけへの解
第3節 リカバリー概念とレジリアンス 第4節 専門職の養成教育への示唆
第5節 ACTスタッフへの示唆 第6節 日本の精神保健システムへの示唆
第7節 本研究の今後の課題
参考資料
資料1 調査全体の概略(第3章)
資料2 【精神障害のある人のライフを支える哲学】カテゴリーと概念の定義(第4章)
資料3 【精神障害のある人のライフを支える実践スキル】カテゴリーと概念の定義(第5章)
資料4 ACTの実践スキルのカテゴリー,概念,具体的スキルの定義一覧(第7〜12章)
資料5 【成功するACTチームをつくるための重要なステップとスキル】の
カテゴリー,サブカテゴリー,概念および各定義一覧(第13章)
資料6 日本におけるACTの実践スキル体系(第14章)
文 献
あとがき
索 引
【著者略歴】
三品 桂子 (みしな けいこ)
1951年 京都府生まれ
1974年 立命館大学文学部哲学科心理学専攻卒業
1974年〜2001年 京都府職員(精神保健福祉相談員・臨床心理技術者)
2000年 同志社大学大学院文学研究科博士課程(前期)修了.修士(社会福祉学)
2001年 花園大学社会福祉学部講師
2003年 花園大学社会福祉学部助教授
2006年〜 花園大学社会福祉学部教授 現在に至る
2008年 インディアナ大学客員研究員
編著書:『利用者主導を貫く精神障害者ケアマネジメントの実践技術』(へるす出版,2003年), 『日本で始めるACTチームの立ち上げ方―アウトリーチによる包括型地域生活支援のコツ―』(久美出版,2010年)