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折谷吉治 著

A5判・上製・572頁
定価(本体7,200円+税)

ISBN978-4-284-10399-2
2013年11月

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*推薦* 白川方明 (日本銀行前総裁)

新しい経済学で、中央銀行の組織・制度を考える!

日本銀行をはじめ、米国連邦準備制度(FRB)、欧州中央銀行(ECB)など、世界の中央銀行は今、注目を集めている。本書は、中央銀行の組織・制度をめぐる諸問題について、「新制度経済学」と呼ばれる新しい経済学を使って検討を試みる。ゆうちょ銀行やNHKなど、中央銀行と同じように公共的性格と民間企業的性格をあわせもつ「特殊法人」のガバナンスの検討にも役立つほか、本書で用いる経済理論が図式も使って平易に解説されていることから、「新制度経済学」の入門書としても最適な1冊である。

【目次】

刊行によせて 白川方明(日本銀行前総裁)

はじめに

第Ⅰ部 中央銀行制度の基本構造

第1章 金融システムにおける中央銀行の存在理由
 第1節 金融システムの3 類型
 第2節 金融システムの3 類型と経済システムの3 類型との対応関係
 第3節 インターバンク取引の取引コスト分析
 第4節 中央銀行制度の諸問題に対するインプリケーション

第2章 中央銀行のガバナンス・ストラクチャー
 第1節 新制度経済学のガバナンス・ストラクチャー理論
 第2節 中央銀行のガバナンス・ストラクチャー問題への適用
 第3節 中央銀行におけるボード制の設計問題
 第4節 中央銀行の資本金の意義

第3章 中央銀行のパブリック・ガバナンス
 第1節 取引コスト経済学の適用
 第2節 エージェンシー理論の適用
 第3節 公共選択論の適用

第Ⅱ部 中央銀行の主要機能

第4章 現金通貨供給機能の多角化
 第1節 取引コスト経済学における組織の多角化理論
 第2節 中央銀行への多角化理論の適用
 第3節 現金通貨供給機能への適用

第5章 金融政策のガバナンス理論
 第1節 問題の所在
 第2節 取引コスト経済学からのアプローチ
 第3節 エージェンシー理論からのアプローチ
 第4節 組織文化論からのアプローチ

第6章 プルーデンス政策のオーナーシップ理論
 第1節 問題の所在
 第2節 政策主体統合問題の理論的検討
 第3節 中央銀行の役割に関する理論的検討

第7章 金融危機管理における中央銀行の役割
 第1節 米国当局による金融危機管理戦略の失敗分析
 第2節 金融危機管理におけるリスクマネーの重要性

第Ⅲ部 中央銀行と決済システム

第8章 決済システムのガバナンス理論
 第1節 決済システムのガバナンス問題
 第2節 主要な理論モデルの概要
 第3節 決済システムのガバナンス問題への適用
 第4節 決済システムのオーバーサイト問題

第9章 中央銀行の決済システムガバナンス
 第1節 中央銀行決済システムにおける利益相反の可能性
 第2節 決済システムの階層化
 第3節 競争圧力によるガバナンスの可能性
 第4節 中央銀行決済システムの官僚制コストと対策

第10章 中央銀行決済システムの多角化
 第1節 証券決済システムへの多角化
 第2節 リテール決済システムへの多角化

第11章 中央銀行決済システムのグローバル化
 第1節 決済システムのオーナーシップと同業者組織の理論
 第2節 CLS 銀行の設立経緯
 第3節 設立経緯のインプリケーション

参考文献初出一覧

おわりに

索 引

【著者略歴】

折谷 吉治 (おりたに よしはる)

1948年 富山県生まれ
1972年 金沢大学法文学部経済学科卒業
日本銀行入行,金融研究所研究第2 課長,考査局考査役,国際局アジア担当参事,信用機構室決済システム担当審議役などを歴任
1982〜84年 ミネソタ大学経済学部客員研究員
2002年〜 明治大学商学部教授
2008〜12年 日本ATM(株)社外取締役
2012年〜 富山銀行非常勤監査役

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