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桜井恵子 著

A5判・上製・216頁
定価(本体4,600円+税)

ISBN978-4-284-10414-2
2014年7月

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子どもの「生活」に即し「主体性」を育てる教育を、深く問い直す!

現在進行している教育改革の特徴の1つに、子どもの「生活」と「主体性」を重視する考え方がある。これに対して、ゆとり教育論争の際、「定型的な知識」の教育の軽視、学力階層差の拡大といった批判が提起されたが、明確な結論が出ぬまま改革は進行している。本書では、この議論を深化させるため、国の教育政策の実験校であった東京高等師範学校附属小学校を事例として、大正期の算術改革運動で主張された、子どもの「生活」と「主体性」を尊重する教育方法の姿を、より批判的に検討する。

【目次】

序 章
第1節 本書の課題
第2節 算数・数学教育史研究における本書の位置と課題
第3節 視角と方法
第4節 全体の構成

第1章 19世紀末の算術教育
第1節 「洋算」の導入とアメリカの影響
第2節 「三千題流」算術の流行
第3節 ペスタロッチの算術教育法の浸透
第4節 「理論流儀算術」の小学校へ与えた影響
第5節 算術教育の目的としての思考力
小 括

第2章 第一期国定算術書の教育論
第1節 藤沢利喜太郎の算術教育論の再考察
第2節 ドイツの算術教育が日本に与えた影響
第3節 第一期国定算術書と子どもの「生活」
小括

第3章 第二期から第三期改訂版国定算術書発行までの算術教育政策
第1節 数学教育改造運動の影響
第2節 第二期及び第三期国定算術書の変化
第3節 1925年全国訓導協議会における国定算術書及び施行規則に関する論議
第4節 第三期改訂版国定算術書と1926年施行規則改正
小 括

第4章 第一次大戦を経た東京高等師範学校附属小学校における新しい算術教育の登場
第1節 1910年代前半における算術教育に関する議論
第2節 新しい算術教育論の登場
第3節 新たな動き
小 括

第5章 新教育運動期における東京高等師範学校附属小学校の動き
第1節 三井善五郎の算術教育論
第2節 稲次静一の算術教育論
第3節 第四期国定算術教科書(緑表紙教科書)への流れ
小 括

終 章

あとがき


【著者略歴】

桜井 恵子 (さくらい けいこ)

1952年 東京都に生まれる
1977年 東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了
中学校・高等学校数学科教員を経て、
2001年 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士前期課程入学
2010年 同後期課程修了、博士(社会科学)
現在 青山学院大学・実践女子大学・東京未来大学・横浜市立大学・立教大学非常勤講師(50音順)

主要論文
「1910年代の東京高等師範学校附属小学校算術科における「生活」概念の変容」日本数学教育史学会『数学教育史研究』第6号、2006年
「第1期国定算術書と子どもの「生活」」日本数学教育学会『日本数学教育学会誌』第89巻第2号、2007年


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