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  山本和道 著

  A5判・上製・260頁
  定価4,410円(本体4,200円+税)

  ISBN978-4-284-10211-7
  2010年2月

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アンドレ・ジッドとサン=テグジュペリの文学を、キリスト教の視点から分析した稀有な研究書!

本書では、この二人の作品を形づくるものに、宗教がどのような影響を及ぼしているのかに照準を合わせ追究した。また、聖書のみでなく、ドストエフスキーとカミュの文学との関わりかたについても言及し、彼らの新しい側面を提示した。西欧文学研究者、聖書を探究する者、そのほか幅広い文学愛好者必携の文学研究書!

【目次】

第一章 『法王庁の抜穴』と『田園交響楽』
 1.『法王庁の抜穴』と『田園交響楽』は異質なのか
 2.『法王庁の抜穴』の翻弄される人物と主体的に生きる人物
 3.『鎖を離れたプロメテ』の「無償の行為」
 4.『法王庁の抜穴』の「無償の行為」
 5.『田園交響楽』と聖書
 6.『法王庁の抜穴』と『田園交響楽』の類似性

第二章 ジッドとドストエフスキー
 1.フランスにおける、ドストエフスキー受容の始まり
 2.ジッドのドストエフスキー論
 3.『法王庁の抜穴』とドストエフスキーの文学
 4.『贋金つかい』とドストエフスキーの文学
 5.ジッドとドストエフスキー

第三章 『狭き門』管見
 1.ジッドの『ドストエフスキー』における恋愛
 2.『狭き門』と『白痴』
 3.アリサの二重性
 4.『アンドレ・ワルテルの手記』と『狭き門』
 5.恋愛と聖書
 6.プロテスタントの物語

第四章 カミュとジッド―『異邦人』と『法王庁の抜穴』を中心に―
 1.サルトルのカミュ評
 2.『異邦人』のムルソーの殺人
 3.ムルソーにおける死
 4.ムルソーとラフカディオ
 5.初期作品おける、カミュとジッド
 6.カミュとジッドにとっての福音書

第五章 『南方郵便機』から『夜間飛行』へ
 1.キャップ・ジュビーで『南方郵便機』を執筆
 2.『南方郵便機』の語り手は誰か
 3.ベルニスの死
 4.ノートルダム寺院の説教
 5.『夜間飛行』における、郵便飛行と地上の幸福
 6.神の視点で実況中継のように
 7.空の文学

第六章 『人間の土地』は小説なのか
 1.『人間の土地』が小説大賞を受賞
 2.何が書かれているのか
 3.どのように語られているのか
 4.精神的意味とは
 5.「磁極」の探究
 6.サン=テグジュペリは貧しい人たちに冷淡なのか
 7.『人間の土地』の宗教性

第七章 『戦う操縦士』の宗教性
 1.アメリカ合衆国滞在中に『戦う操縦士』を執筆
 2.アラスでの集中砲火前
 3.アラスでの集中砲火後
 4.『戦う操縦士』の宗教性

第八章 『星の王子さま』の宗教性
 1.サン=テグジュペリと宗教教育
 2.王子の「罪の意識」 
 3.キツネの教え
 4.砂漠の水
 5.「磁極」の文学
 6.王子はどうなったのか
 7.王子とサン=テグジュペリ

第九章 『城砦』の世界―ある「神の国」―
 1.『城砦』は未完となった
 2.『城砦』とサン=テグジュペリの他の作品
 3.『城砦』と『戦う操縦士』
 4.『城砦』における神
 5.「神の国」の建設


主要参考文献
あとがき

サン=テグジュペリ関係地図


【著者略歴】

山本 和道 (やまもと かずみち)

1951年8月、福岡県二瀬町(現在の飯塚市)生まれ
1971年、九州大学文学部入学 
1983年、九州大学大学院仏文学専攻博士課程所定単位修得後退学
1983年〜1989年、九州女子大学、佐賀大学、久留米大学、九州産業大学、九州共立大学、長崎県立国際経済大学にてフランス語などの非常勤講師
1989年、九州共立大学経済学部講師
2001〜2010年現在、九州共立大学経済学部教授

日本フランス語フランス文学会会員、九州大学フランス語フランス文学研究会会員、一般教育学会会員、日本フランス語教育学会会員、カミュ研究会会員、日本キリスト教文学会会員(九州支部役員)

本書に収録した論文の他は、すべてジッドについての論文である。現在はカミュにおける、ドストエフスキーの影響の研究に取り組んでいる。

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