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大野 僚 著

四六判・上製・196頁
定価2,940円(本体2,800円+税)

ISBN978-4-284-10242-1
2010年5月

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*推薦* 上田 薫 (教育学者)

上田薫の教育論に潜む知られざる意味を掘り起こす!!

戦後教育の革新性を一貫した思想によって展開し、その独自の理論でもって、教育界に影響を与え続けている上田薫。老年となった現在もなお、教育現場と深く関わり、そこから生み出される教育理論は、教育論にとどまることのない哲学・思想・人生を語った人間論までもが含まれ、教育の今日的課題を提起している。 本書は、上田の教育言説を個別に検討することで、その思想的文脈の創造性の解明を試みた上田教育学の新たな可能性を模索する意欲作!

 【目次】

発展をねがうことば ……… 上田 薫

はじめに 

第一章 「戦後」経験主義教育論争
 1 梅根悟のコア・カリキュラム論  2 広岡亮蔵の経験主義教育批判
 3 森昭の経験主義教育論

第二章 上田教育論研究の課題 1 小川正による上田教育論の概要  2 小川正による上田教育論解釈

第三章 上田薫の教育思想解釈 1 社会科教育論の特徴  2 上田薫の道徳教育論

第四章 人間形成の論理──動的相対主義の「論理」 1 自己変革の認識論  2 新しい論理──「数個の論理」

第五章 認識の変容に対する言語的戦略 1 新種の教育言説としての文体  2 意味変換の教育言説

まとめにかえて

註初出一覧

あとがき

【著者略歴】

大野 僚 (おおの りょう)

1977年生まれ。2007年大谷大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。大谷大学任期制助教を経て、現在、大谷大学、大阪経済法科大学非常勤講師。専攻は社会科教育・臨床教育学。

【推薦】

私の思想を学説として追究した論はいくつもあるが、このたび大野僚さんのやってくれたものは、まことに熱のこもった出色の論だと言える。まだたいそう若いのに、よいしごとをしてくれた。私の考えには独特のものがあるから、よほど密着してとらえてくれないと、見当の狂った理解になってしまう。もちろん見る立場はいろいろだから異論も出ようが、この本のもつ一貫した姿勢は十分に評価に値するものだと思う。

もともと学位論文だからやさしいとは言えないが、論旨はすこぶる明快で読みにくい感じがない。私のよく使う他の人とは違った言葉や言い回しも、彼は私の社会科教育と道徳教育を入口にして考えていくから、思いのほかわかりよくなるのではないか。あらためて納得のいく点も多く出てくると思う。

それに今まで人の触れなかった指摘も彼にはある。たとえば私の文体についての論など、珍らしいしなかなかおもしろい。案外そういうところに大事なポイントがあるかもしれないのだが、みなさんはどう思われるか。いずれにしてもこの本が、私の思想へのよい手引きになることは疑えないように思う。

上田 薫 (教育学者)

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