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藤岡 毅 著

A5判・上製・288頁
定価3,990円(本体3,800円+税)

ISBN978-4-284-10285-8
2010年9月

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20世紀最大の似非科学=ルィセンコ主義の本質に迫る日本初の本格的研究書!

科学と政治・経済・思想の絡み合った事象として欧米露の科学史研究の重要テーマであるルィセンコ主義。だが、その影響を最も強く受けたわが国で、これまで独自の詳細な研究書は存在しなかった。本書は、ソ連崩壊前後の新史料による欧米露のルイセンコ研究の成果に言及し、ロシア語原典に基づく新たな説も提言。当時の社会情勢に照らし、ルィセンコ主義がソ連で支持され続けた要因を検証し、その思想的背景を分析する。ソ連崩壊の思想的原因を考える上でも必読の書!

【目次】

序章 ルィセンコ主義をめぐる課題
 第1節 ルィセンコ主義とは何か
 第2節 ルィセンコ主義研究の現状
 第3節 本書の問題意識と課題
 第4節 本書の構成

第1章 ロシアにおける遺伝学の発展と1920年代の遺伝学論争 
 第1節 ロシアにおけるメンデル遺伝学の受容
 第2節  1920年代ソ連遺伝学の成果とその国際的結びつき
 第3節 生物学の弁証法化をめざす1920年代の試み
 第4節 進化学史におけるソ連遺伝学派の役割
 まとめ

第2章 文化革命下の哲学・遺伝学論争 
 第1節 文化革命の開始とデボーリン派・遺伝学派の初期の勝利
 第2節 ミーチン哲学の台頭
 第3節 ソヴィエト・マルクス主義の転換と遺伝学派の失脚
 第4節 1930年ソ連における2つのダーウィニズム
 まとめ

第3章 文化革命の終焉とルィセンコ派の支配権の確立 
 第1節 文化革命の破綻と飢餓の進行
 第2節 ルィセンコ派と遺伝学者の論争の始まり
 第3節 大粛清に乗じたルィセンコ派の躍進
 第4節 正統派の地位についたルィセンコ主義
 まとめ

第4章 ルィセンコ主義の国際的影響 
 第1節 欧米の反応
 第2節 日本への影響
 まとめ

終章

註文献一覧

【著者略歴】

藤岡 毅 (ふじおか つよし) 

工学修士・比較文化学博士
1954年 淡路島洲本市生まれ。
1978年 大阪大学基礎工学部生物工学科卒業。
1981年 同大学大学院博士前期課程修了。専攻はタンパク質の構造と機能。
1984年 同大学院博士後期課程単位取得満期退学。
同年から民間企業(教育産業)に従事。
1997年から科学史家・松永俊男(現桃山学院大学名誉教授)に師事。
現在 総合教育文化学院阿倍野校塾長、同志社大学嘱託講師(科学史・科学論)。
日本科学史学会および同学会生物学史分科会会員(生物学史、ロシア・ソ連科学史)。
著作は「ロシアにおけるメンデル遺伝学の受容」(2000)、「1920年代のソ連遺伝学とマルクス主義」(1999)、「ソヴィエト・ダーウィニズムの2つ
の潮流」(2009)他、ルイセンコ主義に関する論文を多数『生物学史研究』に発表。また、『新しい科学の教科書・準拠問題集(生物編)』(共著、文一総合出版)(2010)も執筆。

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